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ヨシモトポール株式会社様

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意識改革から次世代の基盤を創り拓く!
未来をつかむ工場改革「ACT30活動」

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本ページでは、ヨシモトポール株式会社様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
ヨシモトポール株式会社は、与志本林業を前身として、1961年(昭和36年)に有線放送向けコンクリート柱の製造・販売からスタート。公共インフラ、情報通信、防災、照明など、社会の発展を支える幅広い分野のポール製品の製造・販売事業を展開。その過程を通じて、鉄加工やコンクリート・アルミ・ステンレス・鋳物・ガラスなどの各種素材を取り扱う技術、塗装や表面処理技術を練磨してきた。創業時から変わらないヨシモトポールの原点「美しいくにづくりに良い品を」をスローガンに、安全・安心・快適な街づくりに貢献を続けている。
同社では、2015年より群馬工場の製造部門で改善活動を開始。その後、間接部門や滋賀工場も含めた全社活動に発展している。「Action Challenge Target 30」という名称に込められた工場改革の取り組みを紹介する。(※ASAP 2018年 特別号より抜粋)

活動開始の経緯

ヨシモトポール株式会社では、設計から材料調達、鋼材加工、表面処理、納品まで一貫して展開。長年の経験により培われた「多品種・少量生産」による一品一様の個別対応を得意としている。
しかしながら、繁忙期と閑散期における製造数量の大きな差、複雑化する商品への対応、そして2020年の東京オリンピックに向けた関連事業への製造対応に向け、工場の生産性を高めていく必要に迫られていた。
こうした状況に危機感を抱き、テクノ経営総合研究所による工場改革活動の導入を検討。当初は外部コンサルタントの導入による改革活動に対し、かなり不安と戸惑いがあったが、「自分たちでつくりあげる活動」という説明をコンサルタントから受け、この機会に社員の意識改革や人材育成を進め、工場オリジナルの活動を推進し、改善マインドの醸成と継続的な改善活動につなげていこうと考えたという。

新しい発想で生産性アップに挑戦!

群馬工場の改善活動は「ACT30」と命名された。
これは行動するという意味の「Act」と今までの延長線上の改善ではなく、新たな考え方で生産性30%向上という高い目標に挑戦しようという意味を込めた「Action Challenge Target30」の頭文字によるものである。また、この名称には「明るく、コツコツ、楽しく」活動を進めていこうという意味も込められている。
ACT30活動は現場主導の生産性指標とプロセス管理による『日々の生産性の見える化』、投入管理による『生産性・品質向上』、自ら問題発見し、改善を推進できる『次世代人材の育成』を大きな軸として2015年8月からスタートした。
群馬工場の製造部門である。部材加工、溶接、表面処理・塗装の各工程から合計10チームを編成。製造メンバー全員を活動組織に編成し活動を開始した。
活動の進め方としては、推進リーダーを中心に生産性指標(総合効率)、改善進捗状況を確認。困り事や問題点、効率向上についての日々のミーティングを製造メンバー全員で実施する。業務の繁閑により活動が停滞しないよう、繁忙期でも製造の手を停めずに活動を行った。

総合効率による生産性の見える化

一品一様の製品が多いため、毎日の生産性をモニタリングする総合効率を現場に導入することは難しいとの意見もあったが、各職場で日々のデータ収集の工夫を重ねることで総合効率のメリットを上手く活かすことができた。
これまでは生産性の指標として月締めの売上金額と労務費を用いていたが、どの製品や工程の生産性が良かったのか、悪かったのかが見えてこなかった。しかし、総合効率の導入後は、日々の各工程の効率が良かった理由、悪かった理由を把握できるようになった。
例えば、製品の流し方を変えることで効率が大きく上がり残業削減につながること、同じ仕様でも鋼材メーカーにより加工の難易度が異なり効率を変動させること、設備トラブルの効率に与える影響などが定量的に見える化できた。
また、これまでは翌日以降の定量的な仕事量が分らなかったが、事前に把握する事ができるようになり、仕事が少ない日は他工程への応援出しや職場の5S、改善ミーティングの開催など、積極的な時間の有効活用もできるようになった。
日々の生産性の見える化、現場メンバーからの効率化に向けた意見出しや改善の推進により月次の総合効率は着実に向上した。また、毎日の総合効率をモニタリングすることで、現場メンバーが効率化を意識して生産活動を行うようになった結果、活動前に比べ残業代の削減や工数当たりの売上が向上するなどの経営面の成果も着実に上がってきた。

活動の取り組み
多能工化に挑戦 鉄工部

鉄工部では、圧倒的な受注生産量と短納期対応の対策として、繁忙期の業務負荷を平準化する必要に迫られていた。そこで改善の力点を「多能工化」に置き、必要な時に他部門を応援できる体制づくりを目指した。
稼動中の6ラインをお互いに接近させ、統括リーダーとの対話を行うことで、現場を動かしながら多能工化の素地づくりを進めていった。その結果、以前は繁忙期における部門間の仕事量に差がみられたが、改善後は業務効率が向上し、特定の部門だけに残業が集中することがなくなった。
鉄工部の吉水部長によれば「量産品については上期中に当初の目標を達成でき、下期の繁忙期には、余力となった人員を他部門の応援に回すことができるようになった」という。

5S・見える化の推進 表面処理部

表面処理部では、「5S・見える化」に取り組んだ。活動の始めに現場の困り事を中心に改善テーマを各メンバーから収集したところ、目標値をはるかに超える改善提案が集まった。
改善実施では、推進リーダー・統括リーダーが中心となり活動を主導したが、治具作りについては塗装作業のスキルアップのために、あえて苦手な不慣れなメンバーを対象にコーティングや塗装の技術を教えながら進めていった。
表面処理部の四條部長は「見える職場・見せる職場になり、現場の意識も変わってきた。しかし来期の後半では人材不足の対策が必要、部門間の応援、間接の応援により進めていきたい」と語る。ベテランの退職が進むなか、スキルが関わってくる部分を多能工化等でどう切り盛りしていくかが課題になっている。

スキルマップ作成 間接部門(設計部、品質 保証部、管理部、業務部等)

ACT30活動は、2016年4月より、間接部門(設計部、品質保証部、管理部、業務部など)および滋賀工場に取り組みを広げている。
群馬工場の間接部門では「スキルマップ作成」を通じて業務の見直しが進められた。スキルマップ作成は各メンバーの能力の見える化につながる。各人のスキルアップ目標と将来の到達レベルを各メンバーに認識させることが目的である。
たとえば総務部などの職場では、仕事の属人化が進みやすい傾向があったが、それを改善するた

めにスキルマップ作成が役立った。個人と仕事を分けて考える意識と業務共有化の発想により、職場の生産性が大きくアップした。また、そうした個人業務の見直しがOJTの延長としても有効に機能している。
もう一つの活動成果は、文字に表せない勘やコツに関係する「暗黙知」に対する取り組みである。今までは、言われたことをマニュアルで確認しながら仕事を引き継いでいたが、スキルマップ作成を通じて、そこに書かれていない経験値が持つ重要性に気づくようになったという。
異動や引継ぎで新しい仕事を覚えていくとなると、どうしても今までの仕事+αでやっていかねばならず、スキル向上と実務が上手く連動していかない部分が出てくる。
管理部門統括の新井部長によれば、「4月になり組織が変わると、今までの人と入れ替わりに新しいメンバーが入ってくる。スキルを新しい人に伝えていくことが必要となるが、ここでもマニュアルにない暗黙知の部分をどう伝えていくかが課題になってくる」とのことである。

今後の展開

初年度の活動成果としては、定量的には改善提案件数が約23%増加、改善チームの半数以上が単月の総合効率目標130%を達成できた。また、定性的な成果としては、他工程に対する積極的な応援体制が取れるようになり、職場コミュニケーションが大きく向上した。
今後は、ACT30を単独の活動にせず、原点に立ち返って工場運営のルールを見直し、安全第一・品質確保の強化を図っていく。

取材にご協力いただいた方

ヨシモトポール株式会社
執行役員 製造統括         四條 幸正 氏
執行役員 群馬事業所 管理部門統括 新井  守 氏
鉄工部 部長            吉水 久史 氏
副工場長              奥山 康夫 氏



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