コラム/海外レポート

2021.10.13

食品製造業 勝ち残り戦略 食品工場におけるプロセス改革
~今、食品会社の工場がやるべきこと~

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  • 食品

執筆者:

沢柳 知治

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食品会社の課題は“人と設備”の効率化

 昨年来のコロナ禍により、売上が減った企業もあれば増えた企業もある。業種業態による影響度の違いは大きく、それは私がコンサルティングにお伺するクライアント企業でも同様である。
 食品会社については、ある菓子メーカーでは巣籠り需要により出荷が増えたが、一方でギフト関連では大きく減少した。同じ企業でも事業内容により明暗が分かれているのが実情だ。
 コロナ禍のような不測の事態に対応するため、各企業では普段より社内の改善・改革に取り組んでいる。各企業での取組み方はさまざまだが、食品会社の場合は人と設備に関連した課題が多い。食品メーカーでは正社員だけでなく、現場で実際に作業するパートや派遣社員の方が多く働いている。労働集約型の職場では、生産性を高め、少ない人数で作業できる効率化を追究していく必要がある。一方、設備については、トラブル削減や材料ロスを削減する設備の整備や改良、治工具の活用なども必要になってくる。エネルギーを大量に消費する食品工場では、蒸気や水、電気などの省エネ活動やコスト削減も不可欠である。今回は、私の経験から“人と設備”を中心とした工場改革の事例を紹介したい。

“人と設備”の効率化にどう取り組むか?

 ある食品メーカーであるA社では、正社員とパートさんのコミュニケーションを改善した。そのポイントは、社員の「聞ける化」 パート社員の「言える化」である。それまでは社員とパートさんのコミュニケーションが希薄で、パートさんの方でも自分の意見を伝える機会が少なかった。
 しかし、現場で実際に作業しているのはパートさんや派遣の方が多い。だからこそ現場の問題点を発言しやすくする。実際に作業している人の声を参考に改善していくことで、生産性向上につなげていくという目的で活動を開始した。
 全国に30以上ある工場から、3工場をモデルケースとして、お互いに気兼ねなく話ができる職場風土、ムダなく働ける職場づくりに取り組んだ。その結果、各部署の効率化により、以前からの懸念の課題であった「応援体制」が取れる職場環境が整備されてきた。
食品工場では人手に頼る包装工程が重要である。製品を作り上げても包装が予定時間に終了しないと結果的に全体が残業になってしまう。そこで各部署を効率化して包装の職場に応援にいけるようにする。その企業では、結果的に後手になっていたメンテナンス作業が事前にできるようになった。そしてモデル工場としてスタートした3工場が全社の取組みを牽引する存在として、他工場への水平展開を担っている。

 製菓メーカーのB社では、現場の社員は若いが、一方でパートさんの年齢は高めの女性が多い職場。取り組んだテーマは若手の育成と原価低減だった。やはりここでも社員とパートさんのコミュニケーションが重要である。
 また、熟練を要する前工程では手作業による原料加工が多く、かなりのノウハウが必要となり人の感覚に頼る部分が多い。そこでここではベテランから若手への技能伝承に取り組んだ。
 食品工場の課題である包装工程の改善には設備の視点で取り組んだ。いかに設備の稼働を高めるか。設備の基準を決めることでトラブルや包装不良を減らす。このように同じ業界でも状況により、違ったアプローチで取り組んでいる。これは食品工場の特徴でもある。B社では設備に関して、設備加工と治具作制での改善活動がスムーズかつスピーディに進んだ。

改善を成功させる3つの力

 今回は、食品工場の事例を紹介したが、業種問わず、工場改革活動を成功させるには3つの力が必要である。
 それは、1.トップの誘導力、2,組織活用力、3.改善実践力の3つである。
「トップの誘導力」については、トップの考えや想いが組織全体に落とし込まれることが重要だ。トップが定期的に改革活動に参画、関与することでモチベーションを維持・向上させること。
「組織活用力」とは、人・組織の協働により、部門間の問題を積極的に解決できる場があること。
「改善実践力」とは、現場のミクロの改善活動とトップダウン活動が融合して機能していることである。特に治工具の導入や設備改善のスピードが改善成功、改革成功のポイントである。

この記事を参考に、明日からの工場改革活動に活かしていただきたい。

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