コラム/海外レポート

2020.09.28

Go To EAT と食品業界

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官民一体の需要喚起策としてはじまったGoToトラベル。その第二弾として、Go To EATキャンペーンがはじまる。コロナ禍でダメージを受けた観光産業や飲食店、食品供給産業などを支援することがその目的だ。
感染症予防対策を講じる業者を全国から認定、25%上乗せの「プレミアム食事券」を発行して一般消費者の心情を煽る。
食品製造業では海外販売はいうまでもなく不振。外出自粛の「巣ごもり消費」で家庭用は好調だが業務用は減益と明暗が分かれたようだ。
ここでも販促費の圧縮、生産性改善、業務効率化など改善の底力を出した企業もある。コロナ禍で買い物の回数が減れば、冷凍食品やチルド、即席麺などまとめ買いの促進策を直ちに展開する。機転こそ生き残りの必勝策である。

漢文学の碩学、白川静氏によれば「食」という文字は穀物を入れた器に蓋をした形を表しているという。大切な食糧には覆いをして守るということなのだろうか。
その食に関していえば、数年前にテクノ経営総合研究所が主催する比叡山での研修に参加したことがある。管理監督者を対象にした合宿型の研修で、短期間ではあったが日常を離れリフレッシュする時間を持つことができた。
比叡山居士林研修道場。ここでは「行住坐臥」のすべてが修行。早朝の座禅や作務、そして一同が集まってとる朝食、これも重要な修行の場だ。
僧侶たちは音を立てずに無言で茶碗をすすり、沢庵漬けなども無音で咀嚼する。しかし不慣れな参加者がご飯を掻き込む、箸が茶碗にあたる。すこしでも音をたてると「だれや」と修行を執りつける僧侶から怒鳴られる。
このときほど食事を味わう大切さを考えたことはなかった。

日本の食料事情に関連していえば、日本の食料自給率はカロリーベースで約38%と低い。また食べ残しで廃棄される食品ロスの総量は年間643万トンにも上るという。
2005年に制定された「食育基本法」は食を通じて豊かな人間性を育むことを目的とする。学校や企業も「食育プログラム」を推進する時代である。大切な食糧をムダにしない精神が必要ではないだろうか。