コラム/海外レポート

2020.10.26

コロナ禍でも製造業が成長を実現するために

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  • 現場改革・生産性向上
  • 問題発見力

執筆者:

沢柳 知治

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経済産業省は本年5 月29 日、日本の製造業の今と将来の見通しをまとめた「ものづくり白書2020」を公開している。今回で20 回目の発行となる2020 年版のテーマは、不確実性が高まる世界への対応力、競争力の源泉としての「企業変革力」である。この白書が発行された時期は、コロナ禍における緊急事態宣言の解除直後であり、国全体の経済活動が停滞し、各企業においても深刻な影響が出ている状況であった。私自身もコンサルティングを担当させていただいている企業様への訪問が困難になり、リモート会合や、Webライブセミナーへの切り替えが必要となるなど、これまでとは異なる環境への対応に迫られる時期であった。しかしながら、このような状況においても、改善活動は「不要不急」にはあたらないため、従来通り訪問していただいても問題ないという、お言葉をいただいた企業様もあった。この前例の無い非常事態をどのように捉えて、どう対応していくかという判断は各企業にとって本当に難しいテーマであったと思う。そこで私が感じたのは前出のものづくり白書2020 が提言する「企業変革力」という言葉である。この厳しく、先の読めない状況においても、変化に対応し、成長への歩みを止めないことが重要であり、それこそが「企業変革力」に他ならないと思う。
例えば、ある食品メーカーでは、コロナ禍により家庭内の需要が増え、スーパー向けの出荷が増加する状況となり、これまで以上に生産性を向上させるための改善が必要であった。改善を止めないために、緊急事態宣言中はリモート会合で活動を行い、現在は、訪問での活動を再開している。また、ある金属加工メーカーでは利益率の高い製品の出荷が大幅減となり、仕事量が平常時より減ったため、この時期を活用して色々なテストをするなど、より積極的に取組みを進めてきた。この2 つの事例には、コロナ禍における出荷の増減という相反する状況にある企業が、それぞれが直面する課題を前向きに捉え、改革・改善活動を停滞させることなく継続したという共通項がある。我が国の製造業を取巻く環境は依然厳しく、アフターコロナがいつ訪れるのかを予測することは難しい。コロナだけでなく様々な要因で今後さらに「不確実性」が高まった世界で、企業が持続可能な経営を維持していくためには、その時々の変化に対応するために自らを変革していく力が求められる。私はそのために改革・改善活動が果たす役割はこれまでより大きくなると考えている。
では、どのような企業が改革・改善活動を強力に推進し、改革・改善活動を真の成長ドライバーにしていけるのであろうか?私はこれまでのコンサルティングでの経験上、以下3つのポイントが重要と考えている。
1. 「トップの誘導力がある」 トップの考え、想いが組織全体に落とし込まれており、改善活動にトップが定期的に参画、関与している
2. 「組織活用力がある」 人・組織の協働により、部門間の問題を解決できる場があり、積極的な問題解決を行っている
3. 「改善実践力がある」 現場のミクロ改善活動とトップダウン活動が融合して機能している。特に治工具、設備改善のスピードが重要
これらが、改革活動を積極的に推進している企業に共通しているポイントである。

一方で、あまり改革活動が進まない企業の共通点としては以下の2つをあげることができる
1. 「携帯電話が鳴り止まない企業」 メールという連絡手段が一般的になっている中、携帯電話が鳴るというのは事前連絡、案内などが不十分など、何か問題があることを示唆しており、それが頻繁に鳴るという状況は段取りの悪さを表している
2. 「約束の時間に集まらない企業」 時間に対する意識が希薄であり、周囲への配慮が希薄な状態を表している
私のこれまでの経験上から改革活動を進める上でのポジティブとネガティブなポイントを
それぞれ紹介させていただいたが、現在すでに活動に取組まれている方は、一度これらの
ポイントから活動状況をチェックしていただき、今後活動の検討をされている方は、これら
のポイントを踏まえて、活動の導入を検討いただければと思う。
いずれにしても、アフターコロナの世界に向けて、「企業変革力」を身につけることが、企業にとって最大かつ唯一のテーマである「持続可能な経営」の実現には不可欠となる。コロナ禍を前向きにとらえ、成長を目指した取り組みを積極的に進めていただきたいと思う。

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