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ダイソウ工業株式会社様

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「社内に対話を生み出す」 組織改革の推進

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 三重の県庁所在地である津市は、伊勢平野の中央部に位置する臨海都市であり、天正8年(1580)織田信包(のぶかね)が築城し、藤堂高虎が改修した城下町として発展した歴史を持つ。
 JR・近畿日本鉄道の津駅から車で走ること15分。街並みを過ぎ周囲の風景はいつの間にか緑なす田園地帯へと変化する。さらに山沿いの細い道を抜けること暫時、暗い樹々の木漏れ陽の隙間からダイソウ工業株式会社の社屋と工場が現れる。その出会いはさながら俗世界を離れた桃源郷を彷彿とさせる感覚だった。
 ダイソウ工業株式会社は、自動車用部品のプレス及び溶接の一貫加工や建設重機の板金加工、医療・介護用ベッド用フレーム部品の溶接加工などを手掛ける県内有数の中堅メーカーである。
 その強みは柔軟なアイデア発想力と迅速に変化に反応するスピード感。老舗企業としての矜持を持ちながらも、過去にとらわれず変わることをいとわない。四代目・川口宗一社長のもと、人と機械の協業を武器に新たな分野に果敢に挑戦する企業姿勢を打ち出している。
 複数台のプレス機と多軸ロボットが並列した数々のロボットライン、複雑な溶接ロボットが稼働する工場では「テクノロジーと匠」が融合したモノづくりが行われていた。海外生産や海外調達にも力を入れ、韓国・中国・タイの拠点ネットワークを活かして価格・品質・納期を満足させるモノづくりの創造と挑戦を続ける同社の取り組みを紹介する。

1955年創業-老舗企業の課題 四代目社長として

 ダイソウ工業株式会社は、昭和30年(1955)鋲螺の製造販売会社として創業を開始した。その後、昭和47年(1972)にプレス加工を開始、鋲螺の製造販売から二輪・四輪車部品のプレス加工及び溶接加工の一貫加工へと業種転換。積極的にロボット化を推進しながら生産効率の向上をめざしてきた。現在の川口社長はグループ企業でのモノづくり経験を経て、2017年にダイソウ工業株式会社の代表取締役に就任。現在、積極的な若手人材の育成を進めておられる。
 ところが就任後、川口社長が感じたことはモノづくり現場における部門連携力の不足だった。
 トラブルの発生時には全員で助け合う。川口社長が溶接工としての経験を積んだグループ企業のSKコーポレーションでは当たり前のことだった。いわば町工場的な環境であり、柔軟で自然に動ける臨機応変な有機体としての強みがあった。
 企業規模が大きくなり、組織で動くとなるとヨコのつながりがどうしても希薄化する。ダイソウ工業の社内には生産、品質、技術、営業など様々な職場があるが、自職場以外に関心がなく、メンバーには他部門のトラブルに対する責任感もない。
 「なぜ同じ屋根の下で起こっている問題に手を出さないのか」 川口社長が感じたダイソウ工業の課題はそこにあった。若手人材を中心とする組織活性化の構想が生まれていた。
 

二度の「一日工場診断」を経て職場改革を模索

 「実をいうと、テクノ経営さんには以前に一度、工場診断をお願いした経緯があります。ちょうど6~7年前のことでしたが、その時はコンサルティングをお願いするに至りませんでした。当時はまだ社内でコンサルティングを活用するという風土が醸成されていなかったようです。ですから、このたびの工場診断をお願いしたのは現在の社長に代わってからのことです」
 こう語るのは、常務取締役の杉本氏。ちょうどダイソウ工業の常務に赴任されたころ、テクノ経営では一度工場診断を実施させていただいた経緯がある。しかし当時の状況としては、まだ本格的な職場改革を進める職場状況にはなかった。
 「他業種から来たばかりの私自身は製造業については素人で、何が社内の課題なのかさっぱりわからない状態だった」
 初回の診断時には、まだ入社されたばかりだったため、社内の状況もよく把握できなかった。それで社内の課題を見つけてもらうために工場診断を受けたいと考えられた。その後、自前主義で改善を推進され、社内研修などを開催されるなかで職場改革に対する機運が高まってきたのではないだろうか。今回はテクノ経営の経営革新セミナーに参加され、同時に一日工場診断のお申込みをいただいた。
 「セミナーに参加して、“人を活かす”考え方が当社とマッチしていたため工場診断を受けることを決めました」 組織活性化という課題に対し、セミナーを聴講されて響くものを感じていただけたようだ。やはり「人を活かす」ということは中小企業にとって非常に大切である。そういったところからテクノ経営の考え方をご理解いただけた。

工場診断の感想、我々が描いていた考え方に近い

 2回目の一日工場診断の結果は川口社長にもお聞きいただき、「当社が抱える課題に対して、工場診断を通じて正確に的を突いていただいた。我々のやりたいことと診断報告の結果がマッチしていたというのが感想です」というお言葉をいただいた。
 また杉本常務からも「やはりそうかという感想だった。提示していただいた内容でいいのではないか。できれば一緒に組んで社内改革を進めるのもよいと感じた」とコメントをいただく。
 診断結果から導き出された社内変革のシナリオは、意識改革による自主・自律の改善風土の形成、係長・主任クラスの工程改善力強化を主軸として、受注量の変動に柔軟に対応できる高収益工場の実現をめざす。
その活動を通じて若手を中心とする人材育成の仕組みづくりを図るというものだった。
 「人を活かすという考え方は、手前どものような中小企業にとっては重要なテーマです。そういう点でもテクノ経営のコンサルティングは適していると思いました」
 杉本常務によれば、社内に体系的な人材育成の仕組みがなかったことが要因だったという。
 「当時は継続的に若いメンバーの採用を始めた頃でした。ところが社内に彼らを育成する体系的な仕組みがなかった。せっかく若いメンバーが入社しても、ほったらかしでは成長できません。そういう面でもコンサルタントの力を借りたいと思った。現場のメンバーが作業ペースでいろんなことを教えてもやはりそれだけでは成立しないものです。体系的に教育することで彼らがどんどん成長していける環境をつくる。そういった一つの狙いがあったと思います」
 

なぜテクノ経営なのか“ 考えさせる”コンサルティングの導入

 「若手社員の入社により社内活性化の必要があり、事業内容の変化に対応できる体制にしたかった。自社でどうにかしていくという考え方もあるが、私は外部の力も積極的に活用できる。ありきたりの指導内容ではないこと。
普通はあまり着目しない点を捉えているところ。そこが我々としては新鮮で選択の決め手となった」というご感想もいただいている。
 「一般的なコンサルティングではなく、工場に特化していることも当社のニーズと合致していました」
 テクノ経営ならではの方法論とは何か。それは答えを与えるのではなく、まず考えさせること。それについては、「教えないというのも特色です。まず考えさせること、これが実は重要です」と杉本常務もおっしゃっていた。
それについて川口社長からは、「通常だとコンサルティングの進め方として、まず生産効率向上に直行するものです。いわゆるムダ取りだとかにいくのですが、ところがテクノ経営では価値作業とか付帯作業だとか、あまり普段は着目しないようなところに焦点を当てる。たとえば作業以外のところに着目しているところが、あっ面白いなと感じました」
とテクノ経営のVPMが持つ独自の着眼点についてご評価をいただいた。また、導入後は、もちろん主軸となる部分もコンサルティングしていただいたが、総合的な面でスキマの部分で行われる指導が成果につながっていることをお伺いした。

DK30活動の展開

 ダイソウ工業の社内改革は2020年2月から1年の計画でスタートし、現在は第2期目の活動に入っている。当初の組織編成はエグゼクティブプロジェクトリーダー(川口社長)、プロジェクトリーダー(杉本常務)のもと、活動の中核となる専任リーダーと協力支援メンバーとして、生産技術部や品質管理部などの参画で構成された。生産課と塗装課の140 名を超えるメンバーが活動対象である。「DK30活動」という活動名は社内で公募されたもの。Dはダイソウ、Kは改善・効率などの意味を持たせている。
 「生産性を30%上げていく。しかし業務的な改善効果を出すだけではやりがいにつながらない。会社の業績が上がって そこがモチベーションにつながるのではないでしょうか。だからKの中には給料とか期末決算など、具体的な意味づけを持たせているのです」
 こう語るのは第1期活動の専任リーダーを務めた北山氏。活動にあたっては、専任リーダーとコンサルタントで意見がぶつかり合う場面もあったという。それだけ活動に対する思いは熱い。
 また、工場診断に立ち会った生産技術部の清水部長によれば、その感想は疑念を含むものだった。
 「最初に1日工場診断を受けたときは、正直いってピンと来ていなかった。工場の中の粗探しをするのだろうなと思っていたからだ。しかし診断結果の報告を聞いてテクノ経営のやり方に興味を持った」
 それは人を育てるということ。過去に外部の指導を受けたことはあるが、講義・座学的なものが多かったという。
 「若手に注目したというところでは過去にはない」 (北山氏)

 それまでは上層部、管理者向けの研修が多かった。
月1回、講師が来て、いろいろな考え方を教える。しかし、どうしてもその場限りで終わってしまうのである。そして、それは1年で終了した。
 DK30活動では、最初に気づきを伴う意識改革を引き起こすようにした。日常の生産活動にも、価値作業と付帯作業、無価値作業がある。何気なく行ってきたルーチンワークを見直し、問題点を見つけ出す改善提を定める視点、常に少し高いハードルを想定して活動を進めたことが良い結果を導き出した。
 「以前から内部的に改善活動をやっていたが、サイクルタイムを上げるだとか、速くモノをつくることに着目して取り組むことが多かった。しかし価値作業とムダ作業、価値作業を増やして価値時間を上げていく、その発想が面白いと思った。そこからスタートした。そんなイメージだ」
 「D改善は、今期の専任リーダーがコアとなって行えるようになれば、さらに強い組織になると思う」
 そう語るのは、課長の垣内氏。
 日常改善のC改善と横断的テーマを扱うD改善は明確に分かれているわけではない。
 「こんなことで困っているとみんなで話し合いができたグループは“すごいなそれ!”という改善をひきだしてきた」
 現場からの意見でメンバーを上手く巻き込んで一人の知恵ではなく十人の知恵で取り組んだ。こうしたグループも見落とさず褒めていきたい。
 今までは「これやっといて」といえばちゃんとやる。ただ「現場でこんな問題点が発生しました」と報告はくれるものの、「どうすれば良いかわかりません」という他人任せな返答だった。
 しかし、そういう対応がこの1年でなくなってきた。
「とりあえず自分でできることをやってみよう」という方向に変化してきた。「もともとスキルがあったのかもしれないが、佐藤コンサルタントがそれを上手く引き出してくれた」動機付けはやり取りのタイミング。
 「ちょっとしたきっかけで伸びると、そのあとはどんどん伸びる」
 垣内氏によれば、小さく育てるのではなく、大きく育てようとすれば敢えて失敗をさせることも必要。失敗を次にいかすために、苦しいときには若い人たちからも相談を受けることが多いという。そして「そうした経験から私も教えられてよかった」と活動を振り返る。
 「特にD改善に入ってからは、これがしたいという結論だけを持ってくる人がすごく増えた」
 しかし、そのアドバイスとして、結論だけを伝えても当人にとってその答えが本当に正しいかどうかはわからない。そこで「何に困っているのか」という本質的な問いかけをすることが何回もあったという。どれも結論が先に出てきてしまう。問題点があるからこれをしたい、そう本人が納得するまで話し合う。そういうところに時間を使った。
 その第1期活動は目標を上回る成果を達成したが、参加したメンバーにも成果に見合う評価と還元が与えられた。
 「それらの意味を含めていった結果、前期において我々の事業部はよい終わり方ができた。それで期末賞与をいただけた。これはボーナスとは別の期末賞与です」(北山氏)
 努力が結果につながった。今回、活動に参加したメンバーにとっては自分たちがやってきたことが評価につながったという経験が大きい。

これからのDK活動に向けて

 第2期活動、DK40では成果だけではなくて、中身の充実をはかることが目的となる。
 川口社長も継続が大事といっておられたが、どう目的を設定し・効果を求めていくかが課題となる。一番重要なのは活動をするというモチベーション。何のためにするのか「一つの目標を達成したら、また新しい目標、30%達成したら、今度は40%、来年は50%やらされるのか」そういう思いをいかに払拭していくかが課題。今回の活動で苦労したのは外国人労働者。職場の10%を占めるタイからの教育実習生、本人たちの目線からすると仕事が増えるだけ。日系ブラジル人の従業員も多い。彼らのモチベーションをいかに維持していくか。
 「ものを言わなかった子たちが自分の考えで述べられるようになった」と北山氏は語る。
 いま部署で個人の目標設定をやっているところだが、以前は上司から与えられたことを目標にして淡々と仕事をするだけだった。しかし、現在では本人から、こういうことを目標にして取り組みたいという希望が出されるようになったという。
 その目標の内容も会社の目標や部門目標と大きく違わないところでテーマが出てきている。本人の意見を尊重して、目標値の設定は整合しなければならないが、いままで言われてやってきたことを自分で考えることができるようになったという。
 「非常に良かったのは、中間報告会で若手自身から発信できたこと、最初は本当に大丈夫かなと思っていましたが、最終報告会ではしっかりした内容の報告を受けたことです」
 川口社長からもこれには驚いたと高い評価をいただいている。社内改革の推進にあたっては、社長自らご支援をしていただいたことが非常に大きい。現場の声をしっかり受け止めていただいている。それが、メンバーたちの意欲向上につながっている。自分たちのアイデアや意見が伝わるのだという実感がプラスになっている。「自らムダを減らしますと宣言できるようになった」事業のスタイルもどんどん変化していく、それに対応して若手メンバーが活躍できる組織でありたい。そこをさらに活性化して、新たな分野にチャレンジできる柔軟性のある組織にしていきたいとのことである。

社員の協力なくして強い企業は創れない。

 「社内に対話を生み出す」という社内改革の推進は、会社で働く社員に対する声かけや全体会議での呼びかけ。直接膝を突き合わせる場をつくることから始まった。週に1回、各部課長や幹部を集めてのミーティング。各部署が抱える問題点や議案を挙げ、それに対しての議論をする。たとえば効率化のための設備導入、トラブル対策など。会社が抱える問題に対してどうするかを各部署でテーマを挙げて、それをみんなで解決していく。
 改善活動には職場上司の理解も大切である。しかし、そのコンセンサスが上手くいっていない会社が多い。上司からは「改善活動をする時間があったらモノを作ってよ」という感じで返される。業務と活動のバランスに悩む若手の推進リーダーは多い。その部分を経営サイドから全面的にバックアップいただいたことも活動成功の条件である。

 会社としての支援があってこそ、自分たちの活動だという意識が浸透してきた。それまでは「不良が出てるよね」と指摘され改めて問題の発生に気づくことが多かったが、活動の報告会では「不良を減らします」と自らしっかりと宣言できるようになった。
 「最初のころは自信がなかったと思うんですよね」と、佐藤コンサルタントは言う。しかし結果がでると、自分たちにもできるという意識が高まってくる。改善習慣がメンバーたちの間に根付いてきたのである。
 「本当にうちの若手メンバーにできるのだろうか」杉本常務も最初はそう思われていた。
 しかし、活動を通じて提案件数は前年比の3倍に急増。期末の表彰者も増やしたという。
 本人たちの前向きな姿勢が感じられるなか、短期的な課題よりも根本的な問題の見方を目指して第2期が新しいリーダーでスタートしている。
 「これが定着しないと意味がない」

 具体的な成果よりも、まず定着させることが大事。すぐに成果だけに走るのではなく、長期的な視点で活動をご理解いただいている。
 第2期活動に入って、新しいリーダーやメンバーにもどんどん入ってもらいながら進めていきたいという。
指示待ち型ではなく、ボトムアップでダイナミックに組織を変えていく。それぞれの職場が抱えてきた課題を共有し、解決に向けて共同することができるようになった。生産量の変動に対しても、人手の融通や応援体制、工場レイアウトの変更や新機材の導入などの改善案が社員たち自身から続出する。社内は着実にかわっていった。
 与えられた課題というものは高すぎても、低すぎても良くない。努力すれば達成できる少し高めのハードルを設定して取り組んでいくことが有効である、何より大切なことは継続していくこと。途中で立ち止まって考えることも時には必要だが、歩みを止めてはならない。
 「身近なビジョンとしてはグループ企業で売上100憶円を目指す」
 川口社長のもと、各々の強みを活かしてグループ全体が拡大に向け成長していく。
 「現場からはこういう形でやりたいなどの意見があがってくるようになった」
 会社を変えるために、その先陣を切るのは社員、会社を創っていくのは社員だ。みんなでアイデアを出し合ったらきっと強い会社になる。会社の雰囲気や環境も全体的な状態も成長に向かって舵を切っている。その信念のもとDK活動はこれからも発展を続けていく。

取材にご協力いただいた方

ダイソウ工業株式会社
 代表取締役 社長        川口 宗一 氏
 常務取締役 管理本部 本部長  杉本 正人 氏
 生産技術部 部長        清水 勝也 氏
 生産技術部 生産課 課長    北山 慶一郎 氏
 生産技術部 塗装課 課長    垣内 秀夫 氏

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