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旭精機工業株式会社様

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改善活動の蓄積がコロナ禍で
会社の底力を発揮する源に

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国内外トップクラスの精密金属加工をメインとした企業に成長

松原氏: 当社は1953年『旭大隈工業株式会社』として小口径銃弾の製造を目的に設立され特殊な分野からスタートした会社です。1961年(昭和36年)には旭精機工業株式会社と現在の社名に変更し、1973年(昭和48年)には高い精度が要求される小口径銃弾の製造技術を基礎として発展させた深絞り技術・量産加工技術と、機械部門のプレス機械メーカーならではの高度な技術を融合し、精密金属加工品の製造に着手しました。現在では国内外でもトップクラスの生産体制と品質を誇る精密金属加工として事業展開を行っています。さらに1975年(昭和50年)には水晶振動子部品の製造に取組み、量産技術を確立。以降2007年(平成19年)頃まではこの事業をコアビジネスとして展開していましたが、この頃から国内メーカーの海外への生産移管が進み、水晶振動子部品の売上が減少し始めました。ただ入れ替わるようにちょうどその頃から自動車関連の売上が増加し始め、その後も順調に事業規模を拡大し、現在は自動車関連の売上が大半を占めています。高精度の自動車部品製造に伴い、技術開発や、全数保証を基本とした品質保証体制など、生産体制に関する様々な変革の取組み推進が今当社の大きなテーマとなっています。

コロナ禍以前から感じていた経営環境への危機感

松原氏: 実は今回の新型コロナウイルス発生以前から自動車産業を取り巻く環境に危機感を持っていて、昨年の4月ごろから米中摩擦による自動車業界へのダメージが徐々に深刻なものになりつつあることを感じていました。その後11月にタイへ出張した際、タイの自動車部品の工場が何か月も操業停止または一時帰休するなど、厳しい状況に陥っていました。その様子を見て、これはいよいよ危ないぞというのを肌で感じ、色々情報を収集する中、中国でもかなりの減産をしていることがわかりました。当社への注文も徐々に減って来てはいたのですが、コロナ発生以降1月~4月は何とか持ちこたえていました。ただ5月にはかなり危ない雰囲気が出てきて、6月は大幅に売り上げが減りました。減少比率としては、昨年同月比の売上で45%減、利益はもっと悪い状況でした。7月からは若干回復傾向にありますが、まだ元の状態にはほど遠いため、休業をして雇用調整助成金の申請も行うなど、何とかやりくりをしながら工場を運営する中、多くの人余りが出ていました。ただこのような状態でも、利益については6月の底の状態においても何とか捻出することが出来ていました。これは今までテクノ経営さんのコンサルティングを通じて、当社が学んできた成果であり、それが当社の底力となって発揮されたものと考えています。今後の見通しとして、10月以降については部分的に受注も復活して8割から9割は元の状態に戻りつつあり、人余りもほぼ無くなって来ています。工場内で働く人のモチベーションは、実際の収入が減ることもあり厳しい状況ですが、やはり今までの改善活動で学んできたことがそれぞれのベースになっていて、多少の愚痴や不平不満はあっても、精神的にまいってしまうような社員はいませんし、会社の現状についても理解してくれていると思います。

精密プレス金属加工部品

5年間の活動成果として多能工化を実現

松原氏: 2015年からスタートした活動は今年で5年、3期目。この5年間の蓄積というのはやはりとても大きいと感じています。活動では多能工化を目指した取組みを進めていますが、以前はこの敷地内にある4工場それぞれのセクショナリズムが強く、自分の工場のことだけをしておけば良いという雰囲気もありましたが、今では多能工化が進んで、どこの工場に対してもかなり互換性が機能するようになりました。リーマンショックの頃は、生産、出荷、売上が減少していても、人に仕事が付いている(属人化)ため、残業せざるを得ない状況がありました。しかし、今回のコロナ禍では6月からの3ヶ月間、一切残業をしていません。これは多能工化の成果だと思います。この5年間で多能工化はかなり推進できたと思いますが、若い人たちの底上げもまだまだ必要であり、私が理想とするゴールイメージに対してはまだ 7割程度の状態と考えています。
 また活動当初の目標としては、ミドル層のマネジメント力強化の取組みも重要なテーマとして掲げていましたが、この部分についての進捗はまだ50%程度と考えています。今回コロナ禍の状況で、私は現場に対して「残業をゼロに」等のかなり厳しい指示を出しました。本来は「現場経営」という視点で、ミドルマネジメント層からそういう提案を上げて来て欲しかったのですが、まだ現状ではそこまでに至っていません。今後は「考動」から「行動」を意識して、ミドルマネジメント層の中心である課長職が、利益を出すために自ら考え、企画し、行動するという部分をもっと出して欲しいと思っています。

コロナ禍での中長期の成長戦略

松原氏: 今後の成長実現における重要なテーマとして、2017年以降の活動では開発部門における改革の取組みに注力して来たのですが、この改革はかなり困難であることを実感しています。開発の仕事は人がかかわることが多く、管理職のコミュニケーション能力によって大きな差が出ます。そして、仕事の内容はどんどん変化し、増えているのに、やり方が変わっていないから時間を多く費やしているため、違う方向に持っていく必要があると考えています。今活動で新たな取組みを進める中、ようやく最前線で仕事をしている作業者と管理職の間でコミュニケーションがとれるようになってきました。これまでは納期について、最初に大日程を立てるだけで時間が経過して、納期が近づくと「危ないぞ、納期守れるのか」ということを繰り返し、その都度相当な労力を費やしても、結局は納期遅れになってしまうという状況が続いていました。新たな取組みではその状況をゼロにするため、予定を1日単位で細分化して、計画と日報をセットで確認していくことで、残業時間が把握でき、納期に向けた管理もきっちり行えるようになりつつあります。この取組みを始めてもう少しで1ヶ月になるので、そこで成果の確認をしたいと思っています。
 また長期的なビジョンとしては、現在「ALPHANOMOUS(アルファノマス)」というビジョンを掲げて、2050年の生産現場で人が介在する作業をどこまで軽減できるかという取組みを全社で推進しています。「I oT やA I を真に活用することで、機械自らに調節、調律する機能を持たせて、作業者が離れた場所にいながらも生産現場に関わることを可能にする」という構想を持つこのビジョンは、コロナ禍以前に策定したものですが、アフターコロナ、そしてその先の未来の製造業において求められる要素が含まれたものだと考えています。
 改善活動で中期的なテーマに取組むと共に、長期ビジョンを念頭においた経営を推進することで、今後の先行きが不透明な環境においても、成長への軌道を確かなものにしていきたいと思います。

取材にご協力いただいた方

取締役 精密加工事業部副長
兼 第一製造部長 兼 次世代企画室長 松原 幸弘氏

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