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東レプラスチック精工株式会社様

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改善活動での取組みが
コロナ禍で効果を発揮

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スーパーエンプラ加工業界のリーディング企業を目指した取組みを推進

三木氏: 当社は東レグループの関係会社として昭和36年に創業。現在は、スーパーエンプラ加工業界のリーディング企業となるべくチャレンジを続けています。市場が求める高機能化、高精度化、高品質化、低コスト化に総合力で対応し、3つのプラスチック加工技術(射出成形、押出成形、コンパウンド)の事業展開を、当社の強みである「ソリューション力」「複合・総合力」「品質管理力」を活かしながら推進しています。
 生産・技術の拠点としては、国内に三島、岡崎、郡山、川口の4箇所がありますが、この中で三島工場は、当社のマザー工場としての役割があり、射出成形、押出成形、コンパウンドの3事業全てを担当しており、また本社機能の多くの部署も三島工場を拠点としているため、単なる工場というよりは、総合事業所的な位置付けとなっています。当工場は1962年の開設です。元々は軍の払い下げ用地であったため地盤が堅牢で、富士山の麓という立地から工場用水にも恵まれているなどというメリットがあったことが、この地が当社の主要生産拠点として選ばれた理由です。
 

コロナ禍での工場運営状況

三木氏: 緊急事態宣言前後から他の会社と同様、お客様影響から販売量/生産量は大きく下がっていましたが、現在は回復の兆しが見え始めている状況にあると考えています。3つの事業の内、射出事業が今回最も影響が大きいです。コンパウンド事業についても自動車用途を主とした射出成形の素材生産が多いため同じように影響を受けましたが、今、まさに回復の最中で、徐々に元の生産に戻りつつあります。押出成形事業は、射出事業に比べて影響は少なかったですが、それでも厳しい時期もありました。これらの事業状況から収益的には厳しい状態に陥ってはいますが、回復に向けて取り組んでいるところです。
 一番厳しい時期には操業を抑えたり、社員を休業させたりしていましたが、8月頃からは社員もほとんど元の勤務状況に戻っています。一時的に生産を停止したため在庫が少なくなった一部の製品では挽回生産した生産系列もありましたが、逆に、例えば岡崎工場のように8月のお盆の連休を返上し、休み無しのフル操業をした生産系列もありました。これは当社だけでなく日本全体でそういう状況になっているように思います。このコロナ禍の状況での生産が落ちたタイミングを利用して合理化検討をこれまで以上に実施で出来ました。在宅勤務や勤務変更なども柔軟に行い、それらの取組みに伴って、生産現場の合理化や事務等の業務の効率化のヒントを得た部分もあり、アフターコロナではそういった経験を活かして、より効率的・合理的な生産方式や、革新的な仕組みを実現することを考え、今、一つひとつ取り組み始めているところです。
 ものづくりの現場でのリモート化は難しいですが、コロナ禍への対応を推し進めた結果、本社スタッフ部門、営業部門などは在宅勤務化がかなり進みました。社長や役員は、コロナ前は当たり前のように東京本社に出社していましたが、現在は半分以下を在宅勤務としています。既に、間接部門や管理部門を中心に、在宅勤務というスタイルがもう定着し、リモート会議においては工場を含め全社的に定着しており、逆にそちらの方がやり易いという事が分かったという状況になっています。また、これまで改善活動などの全社報告会・発表会を実施する際には関係者全員が三島工場に来ていたのですが、現在は、発表者だけか、多くてもプラスその上司だけが来て、あとは全員リモート会議での出席としています。
 これらの変革で旅費、移動に関する時間を含めた無駄などもずいぶん削減でき、金額的メリットも確実に得ることが出来ています。今回のコロナ禍を振り返ると、そういう面ではプラスになった部分も多いため、さらにこれらを進めアフターコロナに繋げ、より効率的な会社・工場の運営に活かすことを狙い、具体的な改善への取り組みを進めています。
 

改善活動を通じてレベルアップしたコミュニケーショ ンが企業風土を変革

金谷氏: 今回の改善活動がスタートしたきっかけはテクノ経営のセミナーでした。これまでは製造現場の生産性向上活動はよく活動し指導もしてきましたが、開発・技術といった間接部門組織の効率化については、これまで経験がありませんでした。テクノ経営のセミナーに参加し、是非これをやるべきだというトップの判断でテクノ経営によるコンサルティングの導入が決定しました。
 当社の企業風土として元々風通しは良かったのですが、この活動を行うことで、技術部署の他に、品質保証、金型など様々な開発に関係する部署が集まって活動し、これまでとは別の次元、本音で語り合うことで、本当の意味での風通しの良さまでが実現できて、コミュニケーションのレベルが上がったと思います。
 例えば一つの作業をする時に、どこの部署で作業をするのが一番効率的かというような視点が生まれました。自分の部署の仕事をキッチリ実行するという風土から、会社全体を見通した全体最適の視点が育って定着したことは非常に良かったと思います。

三木氏: その具体的成果としては、今回のプロジェクト後半での「金型修正ゼロ化プロジェクト」が挙げられます。金型は本金型に至るまで、何回か修正をする必要がありますが、このプロジェクトではその修正ゼロを目指し、多くても2回以下にするという目標で取組みました。これまでは工場毎に個別最適で動いていたのですが、今回のプロジェクトで、個別最適では目標達成が難しいということが解り、全員が一つのチームになって目標達成を目指し取組みました。お互いのことを考えながら情報共有しないと前に進めることが出来ず、その取組みを繰り返し実践したことで、コミュニケーションがすごくレベルアップし、一気に風通しが良くなり、企業風土・文化の変革を起こしたと感じています。私は、これが今回の活動のなかで得た大きな成果の1つだと考えています。

改善活動での事前準備が新しい業務スタイルへの移行に効果を発揮

金谷氏: 今回のコロナ禍の前の段階で、コンサルティング頂いた効率化プロジェクトの観点からテレビ会議やWEB会議という新しいツールを日常業務の中に取り込めたことは非常に大きな力となりました。
 何事も、現場・現物・現実の3現主義に基づくことは重要であることは言うまでもありませんが、分業化・専門化された複数の組織による業務活動を効率的にするには、3現主義に基づく情報を正しく伝えることが重要であると、プロジェクト参加の一人ひとりが気づき、理解し、問題意識をもって活動できました。単純に完成されたノウハウやシステムを上から押し付けるようにヤレと命令するのは簡単ですが、細かな作業手順一つに至るまで改善の魂を込めた活動でなければきめ細かい活動や改善風土の定着はできません。テクノ経営のご指導がなければ、改善風土の変革は難しかったと思います。
 コロナ禍で人の移動が制限される中、情報伝達の手段を変更するだけでなく、ノウハウレベルから改善意識を一人ひとりが持った活動をしたことにより、情報伝達の質の向上もできた為、生産性は落ちることなく向上し続けることができたと考えています。
 今回のプロジェクト活動を通じて、情報伝達の速度と質が向上したことと、自発的改善意識向上により、互いに自分達の組織の業務の在り方を客観的に見つめ直し、作業のムダ、情報伝達のムダ、やり直し・手戻りなどのムダが減少していき、1つ1つの製品についてムダな費用の削減と開発期間の短縮を同時に実現することが出来ました。

改善活動の最大の成果は企業文化、風土の変革

三木氏: 中期経営課題の方針をコロナ影響により大きく変えることは今のところ考えておらず、特に射出事業をより採算性の高い事業に変換して行きたいという目標は変わりません。製造、間接部門、技術部署の業務を効率化するとともに、投資採算が良い体制・仕組みの構築を実現すべくテーマに取組んでいかなければならず、今取組みを進めています。
 また最近、今回のプロジェクト以前と、やり切った現在では何が変わったのかという議論をしています。私は、社員の仕事に対する姿勢や着眼点が変わったことが一番大きいのではと考えています。例えば、以前は3Sまでだったのが、今は5Sに進化したという風に、仕事に対する意識や着眼点、そして職場風土の変革を起こし定着し、企業文化として根付いてきたことがプロジェクト以前とは大きく変わったと感じています。これらは目に見えないものですが大きな成果であり、非常に良い流れになって来ていますので、アフターコロナに向けてもこの活動を続けて行かなければと考えています。

取材にご協力いただいた方

取締役 生産本部長     三木 誠人氏
生産本部射出技術部 次長
兼 プロセス開発Gリーダー  金谷 圭悟氏



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