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アール・ビー・コントロールズ株式会社様

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開発・設計部門における
製品開発プロセス改革「SK2040 作戦」

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 本ページでは、アール・ビー・コントロールズ株式会社様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
 製造業におけるフロントローディング、コンカレントエンジニアリングなどによる、製品開発プロセス変革の取組みに対する注目度が向上している。製品開発の上流工程にリソースを投入することで、コスト、品質を作りこみ、下流工程での手戻りや出図後の図面変更、試作、評価試験などを減少させ、開発コストや開発リードタイムの大幅な削減を図ることがその狙いだ。一方で初期段階において他部門を巻き込み、何度もの見直しと、再設計を行う時間と手間がかかるので、設計担当者の仕事量が増加し、負荷が高まる側面がある。そのためこれらの取組みには現場のボトムアップだけではなく、経営トップによる全体最適の視点での調整も必要になると言われている。このようなフロントローディング、コンカレントエンジニアリングの取組みを中心として、開発・設計部門の業務構造改革を推進しているのが、今回の活動レポートの主役、総合熱エネルギー機器メーカー「リンナイ」の子会社「アール・ビー・コントロールズ株式会社」だ。製造業を取巻く外部環境要因「顧客ニーズの多様化」「市場のグローバル化進展」などの影響は、マスカスタマイゼーションによるものづくりを促進し、短納期かつ品質向上への要求を今後さらに強めていくことが予測される。このような状況下、上流工程での製品開発プロセス改革の取組みは、短期的、局所的な負荷は高まるものの、中長期的、大局的な企業価値向上につながるため、企業の持続可能性という観点から、今製造業が取組むべき重要なテーマと思われる。利害関係の異なる各部門の理解と協力を得ながら、開発・設計部門を中心とした企業変革への取組みを如何にして進めていくのか? 関係者へのインタビュー、中間報告会のレポートを元に同社の取組みを製品開発プロセス改革のケーススタディとして紹介する。
(※ASAP 2020年 1号より抜粋)

熱エネルギー機器用の電子制御技術を事業の中核に成長

 アール・ビー・コントロールズの設立は1971年、2021年1月には記念すべき設立50周年を迎える。リンナイグループの一員である同社だが、リンナイの前会長が将来的な熱エネルギー機器の電子化を予測する中、それに向けた様々な電子制御技術を備えておく必要があるという先進的な考えを持っておられたことから、大学の研究者などの人脈の関係もあり、金沢で設立されたことが同社の起源であるという。同社はガス石油機器用電子点火装置(イグナイター)の製造を行う会社としてスタートしたが、ガス機器の電子化が進むことより、点火するだけの電子制御ユニットから、ガスを燃焼制御する電子制御ユニットへ、さらにマイコン搭載の電子制御ユニットへというように、業界に先駆けてガス機器の電子制御技術を進化させてきた。また設立時から磨いてきた高電圧の技術力による点火装置は国内生産No.1を誇っており、その高電圧技術を他分野にも応用している。近年では長年培ってきたコアコンピタンスを活かし、開発から製造まで一貫したモノづくりをするメーカーとして、浴室LED照明や浴室テレビ等の自社オリジナルな商品の展開や「環境・健康・介護」分野の電子制御にも力を注ぎながら、着実に成長への歩みを進めており、売上比率としては電子制御ユニットが43.5%、リモコン27%、高電圧ユニットが10.3%、浴室用テレビ・LED照明が7.5%、その他が11%という構成になっている。また、1995年に韓国・仁川に“アール・ビー・コリア株式会社”、2000年に中国・上海に“上海燃控制器有限公司”をそれぞれ設立するなど、グローバル展開にも力を入れている。設立時は親会社であるリンナイの仕事が100%だったが、企業としての成長に向けて、徐々にリンナイ以外の仕事の比率を高めており、現在はグループ外の仕事が20数%となっていて、この比率を今後は30%、さらには50%へと拡大していくことを目指した経営を推進している。グループ外の仕事を取るためには、個々の顧客要求に合うものを作っていく必要があるため、2005年ごろから開発要員を増やしており、現在は直接雇用で2割近くの開発要員が在籍している。現在社員数は全社で直接雇用550名、派遣を入れると700名弱。生産拠点は金石工場と鶴来工場の2工場で、金石工場は点火装置とリモコンなど、鶴来工場は電子制御ユニットと浴室LED照明などの製造を担当している。

新たな成長に向けた課題「開発・設計部門の生産性向上」

 代表取締役社長の遠藤健治氏は、同社の強みはまず「人」であり、素直で真面目な社員、風通しが良く、連帯感のある企業風土が一番の財産だという。その上で技術的には、時代の要請に応じて上手に発展させてきた歴史があり、高電圧の技術から電子制御に、最近では情報や通信など新しい技術を強化していく開発・設計力が強みであり、現場のものづくりに関しても、リンナイからのみでなく、トヨタを始めとするいろいろな改善活動に関する情報が、グループ内外の交流を通じて得られることが、強い現場づくりにつながっている。このように現場の生産性についてはかなり以前から意識されていて、改善も進んでいたがまだ手付かずの状態で残されていたのが、開発・設計部門の生産性向上だった。今後の成長を目指した経営において、グループ外の売上を伸ばしていくためには、顧客が要望する量産化のスケジュールに素早く対応できるスピードが重要で、リードタイム短縮の改善取り組みを着実に効果が現れる様に自分達のみでは強力に推進出来ないという危機意識を持っていた。今回の開発・設計部門を対象にしたコンサルティングはこの危機感から導入の検討がスタートしたという。同社ではこれまでに社内で開発・設計部門の改善に取組んだことはあったものの、改善のテクニック、効率よく進めるための方法が見つからなかったため、効率良く、確実かつスピーディーに改善を進めて行くためにはやはり専門家の力を借りる必要があると感じていたとのこと。また活動目的は活動目標をクリアすることではなく、競合社を上回るポテンシャルを身につけることであり、まず一般的なレベルの把握をし、それ以上を目指すためには何が必要かという情報は、多くの企業を指導しているコンサルティング会社が保有しており、その活用は同社にとって非常に有意義なものになるはずだという期待を寄せていたという。

間接スタッフの生産性向上活動から開発・設計部門の改善活動へのシフト

 今回のコンサルティング導入以前、同社では全社の間接スタッフにおける生産性向上を目的とした「間接業務改革」を展開していたが、各部門が何から手をつけて良いかわからないという停滞状況に陥っていた。活動の旗振り役であった、総務部 人事課の北野 健樹氏は間接部門改革の成功事例を紹介し、活動の活性化に繋げようと考え、事例を探すために「間接業務改革」のキーワードで検索したところ、いつも上位に、テクノ経営総合研究所のコンサルタントである南野のコラムにヒットしたという。そしてその内容が自分達のやりたいことと一致していたため、活動推進のヒントを求めて、大阪で開催された南野が講師のセミナーに参加し、セミナー後にいろいろな話をした上で、南野から提案された診断を受けてみることになった。当初提示された診断結果については半信半疑だったが、自分の指導先での実績を社名を伏せて紹介してくれて、出来ると言ったことは必ず実現させるというコンサルタントの力強い言葉に、一緒にやってみようという気になり、当時の開発部の部門長に相談したところ、部門長も北野氏と同じ問題意識を持っていたため、それならやりましょうという流れになったという。現在開発部の部門長で活動推進リーダーである窪田 伸悟氏はちょうど今回の活動スタート時に入れ替わりで部門長となり、当初は前任者からすごいものを預かってしまったという気持ちだったが、製品開発プロセス改革を柱として、設計の標準化や技術継承など以前から重要だと思っていたことを、同時並行で進めて行くことができるという一石二鳥の提案内容に非常に感銘を受け、自分が中心となってこの取組みを進めて行くことをポジティブに考えることができるようになったという。窪田氏はフロントローディング、コンカレントエンジニアリングなど、今回の改善に使われた手法について言葉や概要の知識はあったが、フロントローディングについては精神論のように考えていたため、実務での活用については疑問を持たれていたが、実際には全然違っていて、自分達の考えは浅かったと述懐されている。当初全社の間接スタッフにおける生産性向上を目的とした活動は、北野氏の成功事例紹介の検索という行動をきっかけに、トップが今後の成長に向けて必要と考えていた開発・設計部門を対象とした改善活動へとシフトし、生産性向上(SK)と、現状に対する主業務率向上、初年度20%UP、次年度40%UP(2040)を目指す取組み「SK2040」がスタートすることになった。

準備期間に半年を費やし活動の「見える化」に注力

 活動スタート時コンサルタントの提案は開発・設計部門で9チームを作って進めていくプランだったが、そこにオリジナリティを付加するため、生産本部の中で特に連携の強い生産準備、製造技術の2チームも加えて活動をスタートした。1年目は準備段階として工数分析に多くの時間を費やした。これまで作業日報でカウントしていた工数は多くて10 項目ほどの大雑把なものだったが、コンサルタントからもっと細分化するように指導を受けて作成したジョブリストは9チームそれぞれで500から1,000ほどの作業項目数となり、さらにそのリストからすぐにデータ化できるように、社内の人間が新しく導入した工数管理のツールを活用し仕組みをつくるなど、全てを整備することに半年ほどの時間がかかった。その間は活動を進めても分析結果が出てこないため、実感に乏しく、何のための活動かという半信半疑の雰囲気もあったが、工数分析の準備が完了し、分析結果が初めてグラフ化され、チーム単位、個人単位の主業務率が見えるようになったことで、徐々に活動を進めている実感が伴ってくるようになってきた。コンサルタントからは主業務率の変化の要因を、各チームのリーダーが説明できるようになって初めてそのチームの管理・運営が出来ている状況にあるという話があり、それを受けて各チームのリーダーも主業務率の変化要因分析に注力するようになり、そのレベルも徐々に向上していった。この頃から全体的に活動への評価もポジティブになっていき、活動事務局としては、半年かけて活動を見える化した苦労が報われたという思いを抱くと同時に、後はこれをどう上げていくかということに意識を転換させ、2年目の活動では1年目で出来た連携を活かし、更なるレベルアップを目指すことになった。

生産本部の本格的参画による2年目の活動拡大

 2年目の活動も序盤は4つの活動(商品開発プロセス改革、技術継承・設計標準化、ITツール活用、生産性向上)がどう連携していくのか暗中模索の状態だったが、2年目から指導にあたるコンサルタントの柴田の導きにより、夏ごろからやはりプロセス改革が本当に大事であり、試作ベースから検証ベースというテーマを全員が共有することが出来てきた。その頃から各チームリーダーは、自分のチームの活動が終わったら帰るのではなくて、他のチームの活動の時間も後ろで聞き、何が議論されているのかを理解した上で、自分のチームに全体の課題として持ち帰ってもらうようになったという。また2年目から生産本部の代表として活動に参加している生産統括部 責任者の伊勢 幸生氏によると、生産本部内では今回の活動がどうしても開発寄りのイメージがあるため、一歩引いてしまっている感があったとのこと。ただ元々生産本部の人間も開発部と同じようなビジョンは持っているのだから、受身ではなく生産本部としてやりたいことに取組めばいいのではと背中を押してあげることで、より積極的に活動に参加する気運が生まれてきたという。生産本部ではこれまでものづくりのコンサルティングを何回も受けてきたが、今回のコンサルティングのように2週間に1回という早い周期でコンサルティングを受けることは初めてで、この早い周期で課題をこなしていくためには、おのずと他のチームと連携を図っていくことが必要となり、それがルーティンワークになっていったというのが今回の活動の成功要因ではないかとのこと。活動事務局ではこれらの取組みを通じて、7月~9月ぐらいにかけて参加者の理解度が加速したという感覚を持っているが、事務局の頑張りによる共有の仕組みづくり以外に、事務局が関与しないところでも、チーム間で自主的に活発な打合せが行われているという。また今回商品開発プロセス改革で、フロントローディングのために検証リストを作成してインプット、アウトプットを明確にしていく活動を行っているが、これを他部門が開発のつくったものを活用してやってみたという事例も生まれていて、それぞれの部門がやりたかったことと紐付けながら活動は全部門に拡大しつつある。

今後のビジョン

 活動推進リーダーの窪田氏は今後の活動について、『生産性向上についてはある意味で文化として定着させ、継続的にやっていく必要があると思うが、このまま進めていくとどこかで頭打ちになる時があり、その際にどう考えるかということについてはまだ答えが見つかっていない。リードタイム短縮については今トライアルをやっていて、その結果次第だが、30%の次の目標、最終的には50%という目標を掲げているので、残りの20%は何で削っていくのかということを検討しており、それはITツール活用や、設計標準化、技術継承で補えるのではと考えているが、本当にそれで実現できるのかというところが課題であり、まだ見えていないところだと思っている。その課題解消に向けた検討を下期に行いながら、全員が目標達成へ期待感が持てるようにうまく考えていきたい』とのことであった。
 また人材育成的な効果としては、『事務局の人間は活動を普段から見ているので、各チームのこの人は上手く話が出来たり、まとめることが出来るとわかっているが、事務局以外のメンバーにも普段見えていない部分が見えることで、今までになかったような気づきや繋がりが出てきている。そういう体験が今回の活動の中での人材育成の効果であり、本当の設計パフォーマンスを上げていくことはIDEF0とかQFDをやることで上がっていくのではないかと思っている』とのことであった。
 同社の中長期的な成長に向けた今後のビジョンについて、代表取締役社長の遠藤氏は『人材面では、将来のリーダー予備軍といえる35歳前後の中堅が非常に重要な層となるため、どのような特徴を持った層なのかを見極め、大事に育てていこうと思っている。人間的、技術的、総合的なマネジメントの部分などいろいろな角度からチャンスを与えていこうと考えていて、計画的に行っていきたい。今から数年でこの層がどの程度上積みできるか、これが大事だと考えている。また経営的にはグローバルに活躍できる会社を目指して行く。一つはすでにリンナイが展開している海外拠点に対する貢献をしっかり行い、同時に海外でも国内同様にグループ以外の会社の開拓も積極的に行っていく』とのことであった。
 「品質こそ我らが命」を原点思想として掲げるアール・ビー・コントロールズ株式会社。これまで着手できていなかった開発・設計部門の改善を通じて、会社としての原点である品質をさらにレベルアップさせ、創立50周年が次の50年に向けた大きな一歩となり、次代の成長に向けた歩みは着実に続いていく。

SK2040 Phase2 中間報告会レポート

 2019年10月25日(金)アール・ビー・コントロールズ株式会社の本社多目的ホールで「SK2040 Phase 2 中間報告会」が開催された。プロジェクトマネージャーの取締役 生産本部 部長 木村 裕二氏、開発本部 兼 開発部 責任者の窪田 伸悟氏の活動目的についての説明に続き、商品開発プロセス改革チーム、技術継承・設計標準化チーム、ITツール活用チーム、生産性向上チームの各リーダーから現状の活動報告と今後の計画などの説明が行われた。商品開発プロセス改革チームからは、ポイントとして関係部署の早期参画、検証ゲートでの多角チェックがあげられ、これによって開発期間の短縮、品質コストの安定につながることが報告されるなど、各チームが活動のレベルアップに向け、意欲的に活動に取組む様子が伺えた。
 代表取締役社長 遠藤 健治氏からはこの活動に対するグループ内の注目度は高く、先日もリンナイの複数の部門からの問合せがあったことが報告された。また、今後の各チームの取組み報告については、経営成果にどういう風に結びついているかを分かる様な形としてプレゼンテーションして欲しいという指示も出された。全体の印象として、短い実施時間の中で、時間配分がきっちりと成されており、それぞれのチームが簡潔かつスマートな発表を行われていたと感じた。

取材後記

 まず冒頭に本取材にご協力いただいた、アール・ビー・コントロールズ株式会社 代表取締役社長 遠藤 健治氏を始めとする関係者の皆様に心から御礼を申し上げたい。毎回の取材で必ずお聞きするのが、その会社の「強み」についてのご質問。色々な回答をお聞きし、それぞれの社風、企業風土のようなものを感じるのだが、今回遠藤社長のお答えは迷いなく「改善・改革意識を持った人材です」であった。同社が進める開発・設計部門を中心とした開発プロセス改革を柱とした取組みは本文中にも記したように、企業価値向上に効果のある取組みだが、一方で開発・設計部門での負荷が高まる側面があるため、経営トップの積極的な関与が重要となる。取材の中で、遠藤社長は改革の取組みは、状況によっては今までの積上げを無くしてしまう側面があるから、みんなの声を聞きながら進めていくことが必要ともお話されていた。トップの社員に対する熱い視線は活動を推進する上での大切なファクターであることを改めて認識した次第である。今後もアール・ビー・コントロールズ株式会社の改革の挑戦に注目し続けていきたいと思う。

取材にご協力いただいた方

アール・ビー・コントロールズ株式会社 
 代表取締役社長           遠藤 健治 氏
 取締役 生産本部 部長         木村 裕二 氏
 開発本部 兼 開発部 責任者 次長    窪田 伸悟 氏
 生産本部 生産統括部 責任者 課長   伊勢 幸生 氏
 総務部 人事課 参事          北野 健樹 氏
 開発本部 開発部 統括管理室 主査   能沢 孝二 氏
 開発本部 開発部 統括管理室 主査   川口 法行 氏
 開発本部 開発部 商品開発室 主査   宮崎 則夫 氏

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