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ミツヤ送風機株式会社様

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「百花繚乱プロジェクト」
~「標準化」で世界一の高品質・高効率設計への変革

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 本ページでは、ミツヤ送風機株式会社様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
 製造業において設計部門は事業活動の推進エンジンであり、事業活動の品質、コスト、納期の大半は設計で決まるといっても過言ではなく、実際製造の問題、調達の問題をたどっていくと設計に起因する問題が数多く発生していることがわかる。経営者も企業の成長に、設計品質の向上や、開発プロセスの短期化などの取組みが必要なことは十分理解しているはずだが、設計部門を対象にした改革は、効果創出に時間がかかり、かつ費用対効果が見えにくいため二の足を踏む企業が多いように思われる。また製造部門の改革にはベンチマークとなる多種多様な事例があり、自社の改革に向けたロードマップを描きやすいが、設計部門の改革は公開されている事例も少なく、何から着手すべきかわからないため、必要性は認識しているものの、先送りになっているケースも多いのではないだろうか?
 このような設計部門の改革において、「標準化」というテーマを掲げ、現在その取組みを推進しているのが、今回の活動レポートの主役であるミツヤ送風機株式会社(以降ミツヤ送風機)だ。設計標準化は、設計を高度化する上で避けて通れないテーマだが、多くの企業がその必要性を認識しているにも関わらず、なかなか活動が定着しないテーマと言われている。ミツヤ送風機の設計部門である技術部でも、これまで自分達で何とか時間を作って、標準化に向けた取組みを試みてはきたが、定着には至らない状況があった。多忙を極める設計部門において、全員のナレッジを蓄積し、設計高度化を実現させていくため、いかにして設計の標準化を進めるのか? 関係者へのインタビューを基に、ミツヤ送風機の取組みを、設計部門変革のケーススタディとして紹介する。
(※ASAP 2019年 4号より抜粋)

送風機専業メーカーとして積み重ねて来た100年の歴史

 ミツヤ送風機の創業は1920年。来年2020年には100周年という企業としての大きな節目を迎える。当初は東京都江東区でプレス板金工場としてスタートしたが、戦時中、軍需業務に従事し、経営規模を拡大する中、皇居の防空壕で使用されていた海外製の送風機の修理を依頼されたことがきっかけで、当時の経営者が送風機の製造に興味を持ち、大学の専門家などの協力を得ながら、板金プレスの技術を活用して空調用送風機を作り始めたことが、送風機専業メーカーとしての同社の事業の礎となった。当時の送風機需要は、鉱山用、発電用、製鉄用など大型のものが中心だったが、戦後日本の高度経済成長による各種工場、ビルの建設に伴い、低圧の換気ファンなどのスタンダードな送風機への需要が急増し、送風機市場への参入企業も増加した。同社も1954年に「ミツヤ送風機製作所」を設立し、この送風機需要拡大の波に乗ることで、大きな成長を果たすことが出来たが、特に自動車メーカーの塗装技術部門から、安全性・信頼性・性能・機能の要請を受けて開発した「可変翼軸流送風機」は、変動する負荷に対し、高効率を維持しながら対応できる性能が評価され、多数の納入実績を残すことになった。また近年では、地球温暖化、省エネ要求による送風機効率アップ及び駆動機・電動部品・運転システムとの最適化を含むトータル消費電力が送風機のキーワードとなっていて、同社が2007年に販売を開始した「エコファンシリーズ」は2013年度、2018年度の省エネ大賞において、それぞれ「資源エネルギー庁長官賞」、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞するなど、その環境性能に高い評価を得ている。

設計部門における課題「負のスパイラルからの脱却」

 今回、ミツヤ送風機の設計部門変革の舞台となった那須工場は、1960 年に黒磯町(現在の那須塩原市)の工場誘致第一号として、工場用地の払い下げを受けて開設。現在は東京ドーム3個分、142,000㎡(43,000坪)という広大な敷地面積の中に、工場、事務管理技術センターという生産機能を集約し、同社のマザー工場としての役割を担っている。また来年2020年には開設から60年となることから、地域との関係性も深いという。現在、那須工場で勤務する従業員は140名。栃木県の県北は人口も少なく、基本的には人手不足の状況だが、同社は60 年の歴史から、親子孫3世代に渡って勤務する社員もいるなど、経済的インパクトの面からも地域での存在感が強いことから、人材確保においても比較的恵まれた状況にある。このような那須工場において、送風機の設計を担当する技術部には23名が所属している。
 今回のコンサルティングがスタートとした2018年は、同社の中期経営計画のスタート年で、3年間で売上1.5 倍を目標として設定するなど、会社としての業績は伸びていたが、技術部としては非常に苦しい状況にあったという。当時、執行役員 技術本部長としてプロジェクトの統括責任者であった美野輪 健一氏(現技術顧問)によると、一つの大きな誤算から、技術部の状況が急激に悪化し、「負のスパイラル」に陥っていたという。

美野輪氏 数年前、設計のベースがないところで、見切り発車的に行ってしまった生産管理の基幹システム導入が、当時の設計部門における様々な要因と重なり、結果的に最悪の状況を生み出していました。具体的には設計部門全体が、システムの導入によって発生した煩雑な入力業務に日々追われる中、人材面では少数のベテラン社員と多数の中途を含む若手社員という2極化が進み、中間層が薄いため、技術伝承も上手く行っていませんでした。送風機の設計の基本はある程度決まっていて、お客様からの要求に対してある部分を付加したり、変更したりという作業が主です。それが経験や知識に基づいて積み上げていく設計になっていれば良いのですが、当時の技術部はベテラン社員が少ない状態で、経験の浅い若手社員は、既存の類似製品と思われる図面を編集して出図せざる得ない状況となっていました。設計者自身が良く理解した上で図面を作成していないため、ある部分は直したが、こちらは直し忘れていたというような図面が工場に行き、現場でアッセンブリ出来ないため、部分修正が必要となり、設計者が工場に出向くということが頻繁に発生し、いくら時間があっても足りないような状況になっていました。そのような状況では設計担当者自身の成長も望めるはずもなく、まさしく負のスパイラルに陥っていました。

 人材の問題と新システムの導入が相乗的な要因となり発生したこの危機的状況から、いったいどうしたら抜けることが出来るのか? ゆっくりではなく、急激に悪い状況となったため、ある種のパニック状態が技術部内に発生していた。

設計部門変革に向けたコンサルティングの導入

 「負のスパイラル」からの脱却策の検討を美野輪氏が進める中、工場に届く多くのセミナー案内の内、「最強の設計部門が利益を作る」というテクノ経営のセミナータイトルが氏の目に留まり、そのセミナーに打開策のヒントを求めて、技術部のメンバーと共に参加することになった。

美野輪氏 設計部門のコンサルティングというのはあまり聞いたことがなく、自分自身も今まで設計は、外部から教えてもらうというものではないと考えていたところがありました。ところがセミナーで聞いた事例の改革前の姿がまさしく当時の状況で、当社の悩みと一致していたのです。セミナーでこのように、事例として取上げられるということは、自分達と同じような悩みを持っている会社は、他にもたくさんあるように感じられ、まだまだ何とか立ち直る術はあるのかなと希望を持つことができました。

 美野輪氏はこのセミナーで、コンサルティング導入の検討を進めることを決断し、すぐに工場診断を受けることになった。また同社の小宮社長も当時の技術部門の状況には、非常に危機感を持たれており、何とか立て直さなければならないという意識は共通していため、タイミングとしてはちょうど良かったという。工場診断の結果は、基本的には美野輪氏が予想されていた通りだったが、その改善に向けた取組みを一気に進めるのではなく、ステップを踏んで段階的に進めて行くという提案に大変共感を覚えられ、テクノ経営によるコンサルティングの導入が決定した。

コンサルティングスタート時の社員の反応

 製造技術部長の藤林 照己氏によると、同社の設計部門では初めてのコンサルティング導入であったため、当初ほとんどの社員がコンサルティングで、どのようなことをするのか、イメージを持てていない状況だったという。

藤林氏 スタート時に何名かの社員にヒアリングしてみたところ、ほぼ全員が、どんなことをして、どのように変わるのか、全くイメージ出来ないという意見でした。絵にかいた餅じゃないの? 本当に出来るの? という半信半疑のところは全員の共通した思いだったように思います。それまで自分達で改善や改良をしていこうという目標は立てても、結局頓挫してしまうというような経験をしていたことから、コンサルティングを受けて本当に状況が変わるのかというのが、自分を含めた、部員の考え方だったように思います。ただ改善活動を全員参加の少人数のチームで進める中、それぞれが積極的に参加しなければならないという気持ちが芽生えてきて、とりあえずやってみようかというところからスタートして、それが効率よくやれるようになったとか、プロジェクトの活動だけではなく、同じような考え方を持てば、日常業務の改善でも今まで思っていて出来なかったことが出来るようになってきたとか、そういう小さな成功体験を積み重ねて行くことで、全員の意識が変わっていったように感じます。

 今回のコンサルティング導入にあたって美野輪氏は、今までやろうと思って出来なかったことを、3年間のコンサルティングを通じて全員でやるんだ、開き直ってやるしかないんだという強い気持ちを持って欲しいと思われていたとのこと。活動スタート当初社員が感じていた不信感は、活動が進む中、徐々に解消され、コンサルタントの導きのもと、ポジティブなスパイラルを形成し、設計を高度化する取組みに、技術部全員がベクトルを合わせ、変革への道を歩み始めることになった。

技術部一人ひとりの成果が企業の近い将来に華々しく開花する

 プロジェクト活動事務局の野崎 拓郎氏が考案した「百花繚乱」というプロジェクト名は、創業100 周年の「100」と、技術部が目指すべき姿からイメージし、現在の技術部全員の成果が、将来のミツヤ送風機の成長に結びついて花開くという思いが込められている。社内コンサルタントの役割を担い、プロジェクトの成否を分ける存在である活動事務局の野崎氏は活動スタート時から活動を推進する中、ここまで様々な苦労や葛藤があったと言う。

野崎氏 改革活動の大きな流れとしては『現状把握』、『問題点の抽出』、『解決策の計画』、『解決策の実行』という4つの段階があります。まず始めの『現状把握』と『問題点の抽出』のところでは、『IDEF0』※1によって業務の基本プロセスを可視化し、『QFD』※2 によって適正品質を選択するためのデータ構築を進めました。しかし、それらの手法について、そもそも当初の我々にはほぼ知見がありませんでした。まずは事務局である私自身が活動をフォローするためにも、それらの知識を理解することに努めましたが、要領を理解し、ある程度使えるようになるまでには難儀しました。次に、『解決策の計画』の段階では、技術部の理想の姿、あるべき姿を構築し、メンバー同士で共有することが必要となりました。それにあたっては、まずは私がIDEF0で理想の業務プロセスの叩き台を作成し、それを題材として各リーダーと理想形についての議論を重ねました。そして、半年ほどの期間を経て、最終的にはシンプルな理想の姿を描くことが出来ました。その結果、『近い将来に技術部はこうなる』という姿をイメージとして掲げられるようになったので、それがメンバー全員とゴールを共有し、ベクトルを合わせられることに繋がったものと感じます。
 私が活動を推進する立場として、意識的に行っているのは、メンバーたちのモチベーションを高めることです。というのは、この活動は通常業務と並行して取り組んでいるため、その多忙さゆえに精神的に追いやられることが少なくない筈だからです。そうならないために、日常的に本活動に対する全体の士気を高めることは非常に重要だと考えています。具体的には、毎日の朝礼での呼びかけ、日常のフォローミーティングなどに取り組んでいます。それによって、常にこの活動はアクティブ状態であり、日進月歩で前進していることを皆に意識してもらうことが狙いです。また、普段からポジティブで肯定的な言葉を意識的に使っています。本来、人は苦痛に対して鋭敏な部分があります。例えば、失敗の原因分析にあたっては、なぜ?なぜ?と思考を重ねていくと心理的にはネガティブな方向に偏りがちですが、我々が目指すゴールは否定文ではなく、肯定文で表現されます。それは『技術部があるべき姿を構築する』、『全体最適を実現する』といった肯定系の言葉です。ですから、ゴールに向かって一心不乱に突き進むためには、ネガティブな言葉や態度は足枷になるので、それらを封印し、ポジティブな言葉を使って全体の士気を高めていくことにしました。ときどき、一人で空回りして滑っていることも自覚していますが(笑)、活動を推進する立場の私が失敗すること(=滑ること)を恐れていては始まりませんので、失敗は成功の母であると強く自分に言い聞かせ、まずは自分自身のマインドをポジティブに構えています。
※1 「IDEF0」:業務プロセスの見える化手法で、設計手順書として技術継承・人材育成に展開
※2 「QFD」:TQCの品質機能展開で、構想設計時のベテラン設計者暗黙知の形式知化に活用

 現在活動は解決策の実行フェーズまで進み、技術部内から営業部門や工場部門といった他部門を巻き込む活動になっている。他部門に対するプロジェクトの啓蒙を行う中、野崎氏は部門による利害や、立場が違う状況での、コミュニケーションの難しさを非常に感じているという。

野崎氏 プロジェクト立上げ当初のキックオフでは、百花繚乱プロジェクトの概要を全社的に説明し、今年3月の中間報告会では活動の取り組み状況を全社的に発表しました。中間報告会では技術部が策定した会社の理想的な業務プロセスを掲げ、この改革活動が全社的な取り組みであることを皆さんに意識してもらったつもりですが、その後の活動は暫く技術部内だけに留まってしまったため、全社的な活動という雰囲気が薄れてしまったと感じます。しかし、現在は、活動の大きな流れとしては、まだ浅瀬ですが『解決策の実行』へと移行しており、実質的に営業部と工場側を巻き込んだ活動を展開しているところです。今後は他部門を巻き込んだ活動がより本格化していくので、事務局としての苦労や葛藤はこれからがクライマックスになると予想されます。それでも、逆境にあっても、私自身はそれに逆らわず楽しむくらいのマインドで取り組んで行きたいと考えています。活動推進の立場としては常に高い士気を維持することが重要だと思いますので、まずは自分からということです。また、この取り組みは改革活動です。改革とは今までのやり方を根底から覆して価値や利益を創出するものだと私は解釈しています。ですから、目標達成に向けては膨大なエネルギーが必要ですし、試行錯誤することも他者と衝突することも至極当然の筈です。それらを踏まえての今後のポイントは、専ら継続することです。例え困難に陥っても、お互いの意思や感情を共有し、主役である我々が積極的に解決策を考え、技術部があるべき姿を現実化するために活動を継続する。単純ですが、それこそがゴールへの道標になると信じています。

4つのプロジェクト活動テーマの取組み状況

 現在プロジェクトは、『設計手順の構築・技術継承』がテーマの小林氏、『標準化』がテーマの小川氏、『インフラ関係の構築』がテーマの相原氏、『部門間連携』がテーマの藤林氏の4名のリーダーが中心となって進められている。

『設計手順の構築・技術継承』担当 小林 洋一 氏

 設計手順構築については、実際の業務手順の見える化に取り組んでいます。
 今までも設計業務の大まかなフローは規定でありましたが、業務内容についての説明資料がなかったため、これまでの若手社員教育は、最初に先輩から若手に業務内容を口頭で説明し、その後、不明点等があれば若手が先輩に質問、確認しながら業務を進め、設計業務を覚えてスキルを上げていくという形でした。しかし、設計部門の業務内容増加や、人員減少などの要因から、年々、若手社員の指導時間が十分に取れずに業務上のトラブルが発生し、そのトラブル解決に時間を取られ、さらに業務時間が逼迫する悪循環を起こしていました。
 活動当初は、どの様に進めれば良いか分かりませんでしたが、柴田さんからのご指導により、IDEF0という手法を用いて、ベテラン社員が行う業務手順の見える化が出来ました。現在は新たに作成した業務手順において必要なデータや資料を整備しています。同時に、IDEF0で作成した業務手順の完成度向上に取り組んでいます。未経験者や関連部門の方々を対象に、トライアル及び評価の協力を依頼しているところです。業務手順の完成度を上げることで、若手社員の教育資料や業務基準が構築されるだけでなく、今までは設計部門でしか対応出来ずにボトルネックになっていた業務が他部門でも対応可能となり、さらには、業務自動化につながると考えています。
 技術継承については、個人が私的に保管、あるいは使いやすい様に加工した技術ノウハウの資料やデータ等を全て洗い出し、集めた資料から、一元の設計資料を作る取り組みを進めています。特に、送風機の用途毎の注意点や設計基準となる指標や計算資料等が属人化しつつあった為、設計部門内で統一化された資料になる様、纏めているところです。今回作成する一元の設計資料は、今後は属人化すること無く、設計部門の資産として共有し、維持管理できるよう、「インフラ構築」のチームと共同で運用方法について決めていきたいと考えています。

『標準化』担当 小川 安清 氏

 当社の特徴として、営業がお客様からの色んな要求を、個別に受けてくるため、ぼんやりした標準的なものはあったのですが、常にどこかが違うため、今までは受注内容ごとに設計担当者が個別の指示書を出すことで業務が進んでいました。今回の活動ではこのぼんやりとした標準を明確にする取組みを進めていて、ベテラン社員は自分の中では何となく明確になっているものがあるのですが、それを具体的に文書化しようとすると、社員の中でも、色んなパターンがありまとめきれないため、今回は過去の手配品のデータの検証や、営業からお客様の傾向などをヒアリングして『標準機』を決める作業を進めています。また使用する送風機によって、ビル空調向けの送風機や塗装ブース向けの送風機などでは、それぞれ構造が多少違うため、用途ごとの標準機を決めて、一つの指標を作っていきます。標準機という一つの指標があれば、営業もそれを元に受注活動が出来るし、技術・工場も指示する内容、作る内容が明確になります。受注から生産までをもっと簡単にすることに取組んでいるところです。またコンサルタントの柴田さんからモジュールデザイン※3という手法を教わったのですが、それを活用することで用途ごとに標準機を作ったとしても、そこに使用する部品は共通化できるということが、非常に効果的だと感じています。
※3 自動車業界でも最新のトレンドである売上/利益/納期に貢献する手法のこと

『インフラ関係の構築』担当 相原 正由 氏

 基本的には他のチームで検討した内容を、どうシステム化していくかという業務ですが、設計だけでなく全社的に業務効率が上がらないと意味がありません。
 現状は3DCADを基軸にシステムを検討しているところですが、導入以降、その機能をフルに発揮できていません。
 生産管理システム(ERP)も導入していますが、こちらの状況も同様です。その大きな要因は、会社全体として図面偏重主義に陥っていることです。当社のようなアセンブリ型製造業では、リソースを扱う生産管理システムは、図面ではなく、モノ(= 製品・組品・部品)を扱う意識を持たないと、「システムとしての効率が悪い」=「生産性が上がらない」につながります。
 これらを解決するためには、部品中心の考え方であるBOM(部品構成表)構築が不可欠です。3DCADのメリットは、形状や図面作成以上に、BOMが構築できることだと考えています。コンサルタントの柴田さんからは、生産管理システムの前に、設計を管理するシステムが必要とのアドバイスを受けております。このチームでは、モノづくりの根幹をなす設計が、3DCADで作成した設計リソースをPDMなどで効率よく管理し、営業・製造に正確かつ迅速に情報を伝達する一気通貫のシステム構築を目指しています。

『部門間連携』担当 藤林 照己 氏

 まずは工場と営業の連携がないと一つになれないため、工場と営業から問題点を抽出してもらい課題管理表でその内容を把握し、カテゴリー別に仕分けをして、その上で時間のかかる問題、すぐ解決できる問題などに分類し、百花繚乱プロジェクトで進めていくべき問題や、各課の目標として取組めるもの、生産管理システムに関係するもの、各部門との摺り合わせで解決するものなどに分けて、まず簡単にできる部門間の摺り合わせから取組んでいます。その中でまず工場で摺り合わせを行ったのですが、お互いに顔を合わせたコミュニケーションがいかに重要かを再確認することができました。問題について文書のやりとりをするだけでは、それぞれが自分の立場で考えるだけで、一方通行になりがちですが、顔を合わせて摺り合わせすることで、お互いの思いが共有できる、これにより何件かの問題を早期に解決することができました。今後も工場、営業と連携し、百花繚乱で理想の業務プロセスを構築できるようにフォローしていくのが自分の役目であり、それによって一気通貫の業務体制を確立していきたいと考えています。今まで途中で切れていた、つながりをつなげるのは真ん中にいる技術の役割で、業務は忙しくなると思いますが、これをやらないとうまく会社は回りません。今回のプロジェクトで全体が良い方向に回り、今まで会社としてどちらかというと疎い領域だったITのインフラ関係にもより積極的に取組み、残り1年半の期間、周りを上手く巻き込んで、必ずプロジェクトを成功させ、目標を実現していきたいと考えています。そしてその手ごたえは充分感じています。

 設計部門の変革という、前例が少なく、難度の高い取組みを進めるミツヤ送風機株式会社技術部。「負のスパイラルからの脱却」という危機的状況がスタートの背景にはあったが、今プロジェクトに取組む社員の意識はそこにはない。標準化という指標を確立し、メーカーの技術として、技術が中心となって会社を成長させていくこと。本来の目指すべき姿である業界でトップのエンジニアリング集団を確立すること。よりポジティブな意識でプロジェクトのゴールとして設定されたテーマの実現が、100周年を迎える同社の未来の種となり、やがて大きな花を咲かせる「百花繚乱」の時を迎えることになるのだと感じた。

取材後記

 まず冒頭に本取材にご協力いただいた、ミツヤ送風機株式会社 技術本部 技術顧問 美野輪 健一氏を始めとする関係者の皆様に心から御礼を申し上げたい。今回は活動2期目の進行中のプロジェクトを取材させていただいたが、残り約1年半の活動の中で、設計部門が中心となり、企業を変革していくことへの決意と、その実現に向けた手応えを、取材にご対応いただいたそれぞれの方からお聞きすることができた。仕事柄様々な工場にお伺いする機会をいただいているが、那須塩原の豊かな自然の中にある同社の工場は、「森の中の工場」と言うべき美しい工場で、工場入口から続く背の高い木々がアーチを作る道は、100年企業に相応しい品格と歴史を感じさせるものであった。このプロジェクトが次の100年の種の一つとなり、「百花繚乱」の花を咲かせることに期待し、今後もミツヤ送風機株式会社技術部の変革への挑戦に注目し続けていきたいと思う。

取材にご協力いただいた方

ミツヤ送風機株式会社 那須事業所
 技術本部 技術顧問          美野輪健一 氏
 製造技術部長             藤林 照己 氏
 開発技術部 産業用製造技術課 課長  小林 洋一 氏
 汎用技術部 空調用製造技術課 課長  小川 安清 氏
 開発技術部 技術研究課 課長     相原 正由 氏
 開発技術部 技術係 係長       野崎 拓郎 氏

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