1日工場診断事例

西日本土木株式会社様

前例のない「採石事業の生産性向上」への挑戦!

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戦時下の昭和18年に土木事業からスタートし、昭和、平成、令和を通じて、砕石・建設事業に進出しながら発展を続けてきた同社。現在の売上は単体で約70億円超、グループでは約100億円で、その半分は砕石事業が占める。長期経営計画に組み込んだ安全最優先の職場環境、年間休日2割増、これらの働き方改革を実現するには生産性向上20%が必須条件。そのような中、前例の少ない砕石事業が最大のネックとなっており、いかにして取り組むのかが課題でした。

【背景と課題】
長期経営計画の実現に向け、最大のネックだった砕石事業の改革へ

 当社は、社名からもお分かりの通り、戦時下の昭和18年に土木事業から創業し、来年で80周年を迎えます。昭和30~40年代の高度成長期、土木事業に欠かせない骨材不足が深刻化し、砕石事業にも進出。その後、建築事業も加え、現在の土木・砕石・建築という三本柱の事業体制が確立しました。
 2012年、リーマンショック後の影響や政権交代による大幅な政策転換等で公共工事が低迷し、会社は存続の危機に瀕していました。こうした危機的状況を乗り越える為に「長期計画を全員で作ろう」とした意識が生まれ、第一期長期経営計画を策定。社員が危機感を共有したことで業績は好転し、最初の長期経営計画は順調に完了しました。危機対応が過ぎた時、次に策定された長期経営計画では「もっと本来の良い会社にして行きたい」という方向性が打ち出されました。砕石業界はいわゆる3K職場とされ、危険が伴う作業が多く、年間休日も少なかった。いかに安全に仕事をしてもらえるかを最優先に、そのための1つとして年間休日を92日から土日が休める110日、2割増までにする目標を第2回の長期経営計画に組み込みました。こうした働き方改革を実現するためには生産性の向上が20%以上必要でした。
 土木・建築事業では政府が自ら旗振りをするアイコンストラクションにより、ある程度は生産性向上が予測できました。しかし、同業者が少なく、独自の考え方で取り組んできた砕石事業が最大のネックでした。M&Aで砕石所を増やしてきた経緯や各砕石所の地域も違うため、生産形態がバラバラで統一ルールもありません。さらに異動や転勤がなく、ノウハウの共有も難しい環境。こうした大きな課題に対し、自分達でやるには限界がありました。そんな状況の中で参加したのがテクノ経営さんのセミナーでした。そこで生産改善を詳しく教えていただき、一度きちんと工場診断を実施してもらおうということになりました。

【選定と導入】
新鮮だった数値化の視点。「やってはいけない」の固定概念を成功体験で改革。

 大分本社から近く、規模も二番目に大きい大分砕石所で工場診断を実施いただきました。熊本県にある最大規模の山鹿砕石所の高い生産性と比較して、大分砕石所の生産性は低く、その差がどこにあるのか、その理由が分からなかったのも一因です。原石の運搬や砕石機までの投入時間、1時間あたりの投入量など、ビデオカメラを駆使して、徹底的に作業を数値化。今思うと当たり前ですが、当時はその視点が新鮮に感じられました。自然環境下での作業ですので、読めない部分もありますが、そういった条件を加味して設備故障も防止しながら、いかに効率的に原石を投入するか。こうした課題に対して具体的な進め方をコンサルタントの方から説明いただき、「これならできる。」という確信を持ちました。
 工場診断を経て、コンサルティングの導入が決まり、改善活動を進めることになりました。改めて大分砕石所の1時間あたりの投入工数を見てみると、山鹿砕石所の500トンと比べて385トンと圧倒的に少なかった。この差が改善の原点でした。しかし活動当初は、「(過去の経験から)投入量を増やすと機械が詰まる。」という声や「山鹿とは石の質が違うので、そんなにたくさん投入できない。だから、やってはいけない。機械が故障する。」「外部から突然きたコンサルタントにわかるわけがない、上手くいくはずがない。」など、抵抗だらけでした。それに対し、コンサルタントの方が根気よく説明し、「どうして止まるのでしょうか。まずはやってみませんか。」と対話を繰り返していただき、少しずつ投入量を増やしていくことになりました。385トンから400トンに変更しても上手くいき、410トンにしても「あれ?全く機械が止まらないな。」こういうことの連続でした。そうなると現場の意識が変わり、その気になってくる。みんなの目の色も変わってきて、自分から「430トンにしてみます。」と言う者も出てきて。現場の意識改革を目の当たりにした瞬間でした。
 コンサルティングを導入した1年目の大分砕石所の生産性は以前と比較して圧倒的に上がり、「テクノ経営さんってすごいね、変わるんだ。」という認識が広がり、第二期以降の横展開につながっていきました。これからもグループ全体の発展を目指して、生産性向上の活動を続けていきます。

テクノ経営総合研究所では今後も経営革新セミナー、1日工場診断を通じて、企業変革のきっかけをつくるための活動を推進してまいります。

(公開日:2023年2月24日)


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