助成金・補助金 耳よりコラム vol.5

vol.5 令和3年度予算概算要求から見えてくる、
今後の助成金・補助金制度の動向 ~助成金編~

 各省庁から令和3年度予算概算要求が出揃いました。これから年末にかけて財務省との折衝はありますが、この概算要求の内容を確認することで来年度の助成金や補助金の姿が見えてきます。今回厚生労働省管轄の助成金については主に二つの観点から考えてみることができます。

 一つは雇用です。コロナ禍の影響が長期間に及び、雇用維持から離職、再就職を想定した支援へのシフトが窺えます。特に就職支援で予算増額が顕著なのは、医療介護などの人手不足業種や就職氷河期世代を対象としたものです。再就職支援や雇用トライアルに関係する助成金の拡充が予想されます。また高齢者の就労・社会参加促進にも予算が重点的に配分されています。この点は70歳までの就業機会確保が努力義務化されている「改正高年齢者雇用安定法」の来年4月施行も背景としてあるでしょう。現行の「65歳超雇用推進助成金」がバージョンアップされることが予想されます。一方、雇用維持・継続を目的とした支援は、緊急対策枠は残しているものの、要求額0円となっているのは象徴的だと言えます。雇用調整助成金の緩和特例措置は期限が延長される気配もありますが、来年度は緩和措置縮小が現実味を帯びてきています。

 もう一つは処遇改善です。労働環境の整備と生産性向上の括りとして、要求額が前年比20%以上増加の約460億円となっています。本年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」の同一労働同一賃金が来年4月には中小企業にも適用され、正社員との均等待遇・均衡待遇の格差に関する最高裁判決も今月相次いで出されたことでも注目されます。具体的には「キャリアアップ助成金」の中で賃金規定や諸手当の改定、制度共通化の拡充や、従来から進めている「生産性要件」充足時の助成率アップなどが考えられます。さらには関係する助成金が新設されるかもしれません。

 個人的に注目しているのは、テレワークの導入・定着促進に関する予算が前年比5倍増計上されていることです。本年は一時的にせよどの企業も実施や検討を迫られたテレワークですが、まだまだ環境整備としては不十分だと認識している企業も多いのではないのでしょうか。ポイントは助成範囲がどうなるのかです。予算額自体は34億円とさほど大きくないので、来年度に入り短期間で給付終了もあり得るので、早めの情報収集と申請が必要と思います。

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(次号vol.6は11月18日の予定です)

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