海外レポート

2023.12.26

東南アジアの自動車製造拠点であるタイのEV化

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 TMCTがオフィスを構えるタイに限らず、日本人が海外に行くと日本車が町中を走行している光景は誇らしくあります。私がタイに駐在した2020年1月以降はCovid19で世界中が混乱下にあった中、自動車産業を含む多くの業界で様々な変化がありました。
その中で、中国の大手自動車メーカーの長城汽車(MGブランド)が2020年11月、米ゼネラル・モーターズ(GM)からイースタン・シーボード工業団地内の工場を買い取ったという事はショッキングでした。
バンコクでMGブランド(長城汽船)の車をよく見かけるようになったのもこの頃からでした。当時は、「デザイン性が良いから、新しモノ好きのタイ人は飛びつくのだろう」と少々斜に構えていたと記憶しています。
あれから3年が経過。2023年11月30日~12月11日に開催された「モーター・エキスポ2023」では、日系メーカーの販売台数の合計は2万3,695台で、一方、中国系は2万3,268台を記録し、両者の販売台数はほぼ同等になり、販売の大部分が日系メーカーであった過去の様相から大きく変わりました。
タイ政府はEVの普及に積極的で、EV購入の税額控除など有利な政策を打ち出している上、BYDや長城汽車の中国からの莫大な投資効果も背景にあります。また、日本国内と異なる点として、タイの年間平均気温は約29℃で、18℃を下回ることはほとんどないため、消費者は、寒さのためのバッテリーの充電性能、バッテリーの劣化に悩まされることがないという事情もあります。
東南アジアの自動車製造拠点であるタイのEV化が、想定を上回る速度で急速に進んでいる中、この変革期を乗り越えることが、今後の日系企業の重要な課題となるでしょう。最低賃金引上げに伴う人件費高騰、日本と同様に人手不足が顕在化している現状を踏まえ、日系企業はタイ市場の変化に柔軟に対応し、その強みを最大限に発揮していく必要があります。

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