コラム/海外レポート

2023.10.31

バイオプラスチックの可能性

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さまざまな問題を抱えるプラスチック

食材のパッケージやペットボトル、レジ袋など、その機能性や利便性で私達の生活を支えてくれているプラスチック。もはや当たり前のように存在し、その姿を見ない日はないほど、たくさんの製品が存在している。一方で、プラスチックは石油のもとである原油を加熱分解した際に発生するナフサを主原料としているため、地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素の発生要因となるほか、海洋プラスチックごみとして長く自然界に残り続けるなど、国際的に問題視されている課題が多い。ファーストフード店などの飲料物で提供されるストローが紙製のストローに替わったり、レジ袋が有料化されたり、普段の生活の中でも身近な問題として接することも多い。

問題解決の糸口となるバイオプラスチック

こうしたさまざまな問題を抱えるプラスチックに対し、バイオプラスチックの利用が注目されている。バイオプラスチックとは、植物などの再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチックと微生物等の働きで最終的に二酸化炭素と水にまで分解する生分解性プラスチックの総称。バイオマスプラスチックは、サトウキビやトウモロコシ等の糖や油脂といった植物原料を発酵させて得られる中間原料から樹脂を合成する方法と、植物原料から樹脂を化学合成する方法、主にこの2つの製法で作られている。生分解性プラスチックの原料には化石資源とバイオマスのどちらもあり、非生分解性のバイオマスプラスチックと同様に、一部分がバイオマス由来となっているものもある。こうしたバイオプラスチックは、それぞれの目的によって製造されている。つまり、バイオマスプラスチックは化石資源ではなく、植物などの生物資源を原料にプラスチックを生成することにより、製造段階における二酸化炭素の発生要因を抑えることにつながる。また、生分解性プラスチックは自然界での分解が可能で、海洋プラスチックごみを増やさないといった部分に寄与できるだろう。

バイオプラスチックの課題

バイオプラスチックには化石資源の使用軽減やバイオマスを原料とするカーボンニュートラル、生分解といった従来のプラスチックにはないメリットがある一方、課題やデメリットもある。第一に、原料の問題が挙げられる。バイオマス由来の糖、油脂糖から製造されるバイオマスプラスチックの原料はサトウキビやトウモロコシ、キャッサバ等となり、ブラジル、インド、中国といった海外で生産され、バイオPEやバイオPETといったバイオマス由来の樹脂も製造されている。日本国内で製造されている代表的なバイオマスプラスチックは、その原料の多くを輸入に頼っており、運搬そのものに大きなエネルギーを消費し、二酸化炭素の排出増につながってしまう。また、バイオマスとしての需要が高まれば、食料の供給や他の原料などといった既存の用途と競合する可能性も出てくるだろう。第二に、コストの問題だ。従来の化石資源を元に作られるプラスチックと比べ、原料調達にかかる効率性や製造上の特性(植物から必要な成分を抽出する工程)などにより、どうしてもコストが高くなってしまい、おおよそ1.5倍~3倍の単価となってしまう点が挙げられる。第三の問題点としては、リサイクルの難しさがある。一部のバイオマスプラスチックは、従来からのプラスチックと同じ特性を有しているため、同様にリサイクルが可能となる反面、それ以外のバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックにおいては、その技術・プロセスが未確立でリサイクルの阻害要因となってしまう可能性がある。

環境問題の解決やカーボンニュートラルの実現にむけて

環境問題の高まりを受け、日本国内では2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、同年に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに新たな海洋汚染ゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共通のグローバルなビジョンとして共有された。プラスチック資源循環戦略の実現に向けて掲げられた「バイオプラスチック導入ロードマップ」では、2030年までにバイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入することが目標とされている。バイオプラスチックは、プラスチック産業において重要な転換点を示しており、持続可能性と多くの利点が注目されている。そして、その成功のためにはバイオマス供給の管理、技術の進化、そして環境への配慮が不可欠となっている。カーボンニュートラルや持続可能な社会の実現に向けて、今後もさらにバイオプラスチックの研究、技術開発が進み、未来の世代に提供できる有益な資源へと進化していくことを願う。