コラム/海外レポート

2023.10.30

改善活動を支えるローカル社員の「素敵さ」

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執筆者:

高橋 隆二

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先日あるお客様の所に訪問させて頂きました。最初は会議室での打合せですので、そこまでの御案内は丁寧ながら特に違和感なく過ごしていました。気づいたのは現場にご案内頂いた際です。「サワディカップ」「コンニチワ」、ほぼ全ての社員さんが大きな声で御挨拶してくれます。これには驚きながら、さては日本人経営者が無理やり言わせているのでは…、と思ってしまいました。ところが違うのです。経緯を伺ってみると、数十年前、タイで創業当初から挨拶を重んじており、他社と比較しても非常に対応が良いとの評判を受け、ローカル社員の皆さんに繰り返し褒めたそうです。その後は、ローカル社員が自分達で維持管理し、創業以来数十年、この文化を守ってくれているそうです。
タイのローカル社員に改善活動を支援させて頂く際、文化の違いも言葉の壁もあり、苦労ばかりが話に挙がります。この様な良い体験をさせて頂き反省しました。これ程までの文化継承を目の当たりにすると、守り抜く精神、それが出来る意識統一の強固さを認めざるを得ません。思い返してみれば、私が担当させて頂いているお客様も、新しい行動を促す際は確かに苦労します。なぜそれをやらなければいけないか、丁寧に紐解き、着手しやすい手法やツールの提供も、日本で実施する際より親身な寄り添い方が必要になります。ただ、それが浸透し始めるとどうなるか、やはり守り方は強固な部分があります。守れない場合は、仕組みが不足しているか、何か理由があり、私の支援不足を見抜いていたのかもしれない、上記の挨拶は、改めてそう思わせてくれました。
例えどこで生きていようと、人間死ぬまで勉強、と言う事は同じだと思います。しかし、生まれ育った環境と大きく違う環境で過ごさせて頂くと、自身の成長が必要な場面に出会う事が大幅に増えます。世界は多様性を重視する傾向がありますが、自国の文化や意識を大切にする部分が、今の日本よりも太く残っているようにも感じます。私はタイのバンコクに暮らしていますが、仕事上だけでなく、例えば、挨拶に「ワイ」と呼ばれる合掌をしたり、王宮等に向かって拝礼していたり、先に述べたような意思統一の強固さが見えたり、素直さや礼節を大切にしている事に多く触れることが出来ます。現代の日本人が忘れてしまった純朴さ、とても懐かしい感情を思い出させてくれます。
そこで生きている人たちの素晴らしさを理解し、尊重しながら認め合う事が、どんな事でも成功に導く大前提条件ではないか、改めて感じた次第です。

これを読んで頂いている皆様にも、何か感じて頂ければ尚幸いです。

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