コラム/海外レポート

2023.07.25

『自分は理想型の上司』というタイ人管理者

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執筆者:

藤井 秀文

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私は、管理者研修や、活動の際に、タイ人管理者の皆さんに、自身のリーダーシップ自己評価テストを行ってもらっています。
20問の質問に1~5点で答えていくスタイルの評価テストで、その得点結果によって、自身のリーダーシップのタイプが分かるというものです。
20問の質問を、(1)業績に関する質問(合計50点)と、(2)部下対応に対する質問(合計50点)に分かれており、(1)と(2)の点数の交点が、自身のリーダーシップのタイプとなります。

これまでタイの企業30社以上でこの評価テストを行っていますが、100%の会社で、100%の管理者が、必ず自己評価で、『理想型』になるのです。
実際に、日本人の上司にも、自己評価した人を、同じ質問で評価してもらうと、全く異なった結果がでます。『理想型』になる人は、30%~50%程度まで減ってしまいます。

また、これと同じ自己評価テストを、日本、中国、フィリピンの管理者の皆さんに行った事があるのですが、それぞれの国で、評価は異なります。
日本は、『理想型』になる管理者は、全体の10%にも満たず、中国、フィリピンでも多くても30%~50%と、タイのように、自己評価した全員が100%『理想型』になる事はありませんでした。

なぜ、この様な結果になるのかを考察したのですが、『タンブン』の文化が大きく影響しているのではないかと思います。タイでは仏教を信仰する人が多く、その教えの影響で『タンブン』と呼ばれる、人助けをする事で徳を積む事が当たり前になっています。
この自己評価の質問内容を確認すると、『会社や職場の方針や現状を上司に代わり、よくわかるように知らせているか?』とか、『部下からの相談は、私的なことでも時間をとり相談にのっているか?』など、どこか困っている部下に、自分は適切に情報を伝えたり、相談にのってあげているという意識が強く出ているのではないかと思っています。

この考察が当たっているかどうかは、正直、言って私だけの考えなので、当たっていないかもしれませんが、どこか、こうしたタイ人管理者の自己評価の結果から考えさせられる事があるなと、思う今日この頃です。

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