コラム/海外レポート

2022.10.21

「多様性が自然に根付いているタイ社会」

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タイに赴任してから早いもので8年目に入りました。
その間のタイ社会は、日本の高度成長時代に育った私から見ても凄まじい変化を感じます。
身近な例を挙げても、アパートの17階の窓から見えるバンコク市内の景色が7年前はチャオプラヤ川付近までが見通せましたが、今は立ち並ぶビルの陰に隠れて見えませんし、床屋さんの値段は80バーツだったのが今は120~150バーツ。40バーツだったガパオライスが60~70バーツ、中には100バーツ以上の人気店もあり、物価が1.5倍~2倍近くまで値上がりしています。
ヒエラルキー社会で貧富の差が日本とは比較にならないほど大きいタイでは、高速道路を颯爽と走り過ぎるポルシェやランボルギーニを毎日のように見かける一方、街中には今も多くの路上生活者がいます。このような急激な物価上昇の中で貧困層の人たちの生活は大丈夫なのか?と心配になったりもしますが、彼らは意外とあっけらかんと生活しているようにも見えます。
そこには多様性を受け入れて互いに助け合いながら生活するタイ人独特の考え方や生活習慣・風土があるのかも知れません。
その典型的な例が「タイには18種類の性別がある」などという嘘のような本当の話し。
電車に乗っても街で買い物をしていてもレストランに入っても、ごく普通にレディーボーイ(18種類の中のどれかは判らない)と呼ばれる人たちを見かけますし、工場の中にも大抵一人や二人は働いています。周りの人たちもごく普通に接していて全くわだかまりを感じさせるそぶりもありません。
このことは、タイ人の我々外国人に対する対応を見ても、日本人だからとか欧米人だからとかいって差別したり媚びたりするような素振りもありません。タイに来た当初は島国の日本で育った私からすれば不思議にすら感じるほどでしたが、7年も住めば最近は自然に受け入れられるようにもなってきました。
最近、日本国内では多様性を認めるの認めないのと杓子定規で不毛な議論が紛糾したりもしていますが、いつまでたっても村社会から抜け出せない日本人は、一度タイに来てタイ人のごく自然な人間関係構築術を学ぶと好いかもしれません。

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