海外レポート

2022.06.30

タイの「あるある」について

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  • タイ

執筆者:

久保 憲二

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私が担当させていただいているクライアント様でコロナ禍であるにも関わらず、過去最高益を一昨年、昨年と出された会社がありました。しかし、昨年途中からの原油価格高騰による原材料費を中心とした様々な値上げと上海のロックダウンが、企業経営を圧迫しています。特にプラスティックやゴムは大幅に値上がりしてしまいました。皆さんも日々ご苦労されていることと思います。
 さて私事ですが、私がこの国(タイ)に関わりだして9年、駐在して8年が過ぎようとしています。当初はあらゆることに驚き、日本との違いに愕然とする場面も多くありました。日本の常識は通用しないということを思い知らされました。最近では、あまり驚かなくなってきたと思っていたのですが、やはり驚くことがありました。今日はそれをご紹介したいと思います。
 普段改善・改革活動の支援をさせていただいておりますが、いつも気になっていることがありました。それはタイのどの会社でも職場を離席する人が多いということです。あるTier1さんでの活動中のことです。13時過ぎにトイレをのぞくと全ての個室(7つ位)が埋まっていたのです。どの会社でも休憩後の立ち上げが、人員が揃わずに遅れることが多く見受けられます。昼休憩後だけでなく、午前午後の休憩後も同じなのです。
 今までずっと「タイの人はのんびりしているからなのだろう」と思っていましたが、ある時ある会社のタイ人の活動メンバーに思い切って聞いてみました(もちろん通訳を通じてですが)。最初のうちはなかなか理解してもらえず、色々と言葉を変え聞いてみました。そしてある結論に達しました。

 
『タイには休憩時間にトイレに行くという文化・習慣がなかった』のです。
 

日本人は幼稚園・小学校と幼いうちから授業間の5~10分の休憩時間にトイレに行くように先生に指導されてきました。我々にとっては当たり前のことなのです。しかしタイの多くの国民が通う国立の小学校では5~10分の休憩時間というものが存在しないのです。先生が入れ替わる、教室を移動する等はありますが、明確な休憩時間は存在しないそうです。トイレに行きたくなったら手を挙げ先生に許可をもらい行くそうです。それがタイの皆さんの当たり前なのです。
もちろん休憩時間にトイレに行っておいてもらいたいのですが、文化や習慣がないのですから、命令して押し付けるだけではうまく行きません。会社の文化となり、皆さんの習慣となるまで、我慢強く指導・活動を続けなければなりません。
 海外では日本では体験できないようなことが起こりますが、マイナスと捉えずプラスと考え、企業風土の改革へと進めていきましょう。私もそのお手伝いを微力ながら続けていきたいと考えています。

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