コラム/海外レポート

2022.01.26

働き方改革と人を活かす力
(ユニオンツール株式会社 長岡工場・長岡営業所 様)

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ボーダーレスと多様性の時代において、ビジネスの現場でも女性が活躍する企業が多くなってきた。ある調査では女性が多く、かつ重要ポジションに就いている職場ほどウェルビーイング(社員が心身ともに良好な状態)が高いという報告がある。明るくいきいきと働く女性がいる環境は、組織全体の雰囲気やモチベーションにも影響を与えるという見方もできるデータである。
今回取材に訪れた新潟県長岡市に所在するユニオンツール株式会社長岡工場は、電子回路基板に導通穴をあけるPCBドリル製造・販売の分野で世界トップのシェアを誇るユニオンツール株式会社の主要工場だ。
同社の会社紹介動画にもあるとおり、事業所内に地域開放型の保育園があり、冬になると工場の外観にイルミネーションを施すなど、地域も含め誰もが幸せになれる会社を目指している。
そんな同社も、女性スタッフが多い職場である。
また、そうした女性スタッフには主婦業や子育を両立して勤務している方が多い。

 
「当工場の女性スタッフはよく頑張る方が多く、彼女たちの残業が非常に多かった。今回の改善で、そこをなんとかしたいという思いがありました」

と、当工場の長岡管理部 副部長 原田 浩樹氏は語る。
テクノ経営のコンサルティング導入に至った経緯は、女性スタッフの残業の問題だけではなく、今後の生産性を考えると、自動化が進む製造現場から人を移して活性化していくべき間接部門全体の働き方改革を目指してのことだった。

 
「当時は、いよいよ働き方改革に着手しようとしていたころでした。働き方改革をするには、まず社員の待遇向上を図る必要があります。長期的に待遇向上をしていくためには、生産性の向上は必須事項です」

同社の常務執行役員 製造本部長 兼 工場長の川上 巌氏はそう考えた。製造部門はこれからどんどん自動化が進んでいくことを考慮すれば、生産性向上のカギは間接部門の業務改善ということになる。だが、川上氏にはなかなか改善の糸口が見つけられなかったという。

 
「製造部門の改善については書籍もたくさん出ているし、いろいろな手法が紹介されているけれど、間接部門の業務改善に踏み込んだ書籍等は私の探したかぎりでは見当たりませんでした」

そこで川上氏は間接部門の業務改善をテーマにしたテクノ経営のセミナーを受講することにしたのだった。そこで聞いた改善手法は非常にユニークで「間接部門の改善にも、こんな指標があり、こんな手法があったのか」という大きな気づきがあったという。

 
「感銘を受けたのは業務改善をしたあと、その余力をどう活かすかまで語られていたことです。『活人化』という言葉も、そのときはじめて知りました」

いままで「自社の問題は自社でアイデアを出して解決する」という同社だったが、間接部門の業務改善は非常に難しく、川上氏は長岡管理部 部長の種田 修一氏と原田氏とともにコンサルティング導入の必要性を経営陣に訴え、いよいよコンサルティングを受けながらの業務改善を始めた。

 
「まず仕事の棚卸をし、2Sを行って標準化、そして属人化を解消していく、という流れ自体はセミナー受講時に理解していたのですが、なかなか実際には動けませんでした。コンサルティングを受けることになり、やっと前に進めていけるようになりました」

と原田氏は振りかえる。コンサルタントから提案された改善案は面白いアプローチだと思うと同時に、やはり自前では実行できないだろうなと思ったという。
原田氏が命名した「ノンコアダイエット130」というプロジェクト名のもと6チームでの改善活動がはじまった。コアではない業務をダイエットし、生産性を130%向上させようという意味である。
当初、活動は生産管理部門を対象に開始したが、オブザーバー的な立場で参加していた資材部からも本格的に取り組みたいという申し出があり、工場全体に広がっていった。
ただ、すべてが順調だったわけではない。業務の棚卸の時点で苦戦し、先の改善がなかなか進まないこともあった。棚卸のバラつきを見直し、なんとかベンチマークの設定まで持っていった。

 
「わたし自身、人任せの部分があったと反省しています。でもそれがもとで成長できたと感じています」

と原田氏。
活動は今でも継続しており、各チームの達成率も非常によいという。今では150%超えのチームもあるとのこと。
今回のコンサルティング導入による業務改善は、生産性向上とは別の効果も生んだと川上氏は言う。

 
「それは種田部長と原田副部長がこのプロジェクトをプロデューサー的に牽引してくれたことです。取り組みを通して彼らの成長もみられました」

両氏は現在進行中の別プロジェクトでも中心メンバーとして活動を牽引している。

 
「コンサルタントの南野先生の言葉が気づきの連続でした。『そこはこう考えるのか!』ということが何度もありました。ノートに『南野語録』を書きつけているくらいです」

と種田氏。
間接部門の業務改善を数多く手がけ、同分野において広い知見と実績を持つテクノ経営のコンサルタント南野 嘉也のコンサルティングで、業務だけでなく意識も大きく変わったと同氏は言う。

 
「南野先生のコンサルティングは、まず『明るく、楽しく、元気よく』という言葉からはじまります。改善活動については南野先生のコンサルティングと同社の求めることがうまく繋がったのだと思いますが、いまでは信頼関係のようなものを感じています」

と三氏は口を揃えて言う。

 
「女性スタッフの残業を減らすという目的についてですが、逆に今、彼女たちは改善活動で余力が出た時間で、自ら新たなチャレンジをしています。グローバル化推進などで非常に力になってくれています」

と川上氏は続ける。
ユニオンツール株式会社長岡工場の企業風土が生む、人を尊重し、血の通った業務改善活動と、テクノ経営の「人の変革によって現場を変える」コンサルティング手法。その歯車がしっかりかみ合い、現在、同工場ではさらなる業務改善が進んでいる。

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