コラム/海外レポート

2021.12.22

難題が多い今だからこそ原点に戻って工場改革を

関連タグ:

執筆者:

工藤 仁

SNSで記事をシェアする:

  • LINE
いまこそ生産性向上に果敢に取り組むべきとき

少子高齢化が進み、若手人材の獲得と育成がますます難しくなるなか、さらにコロナによって従来の働き方を変える必要が生じている。企業にとって働き方改革・現場改革は非常に大きな、かつ緊急の問題となっている。
少子高齢化による労働人口の減少とコロナによる不測の事態は、それぞれの企業単体ではコントロールすることができない問題である。
そうなると企業の収益性強化と働き方改革は生産性向上にかかってくる。つまり現在、企業にとって労働生産性向上は待ったなしの課題となっているのである。
私は企業の労働生産性の向上を阻むポイントとして、3つの要素があると認識している。
慢性的に品質ロスや過剰在庫が発生するなどの要因で向上しない収益性、何をもって生産性が上がったのか判断する「ものさし」がないがために現場の活力の低下、そして現場の高齢化と進まない若手の採用を原因とした人材育成の遅れである。これらを一つひとつ改善していかない限り、労働生産性の向上は難しいと考えている。
このような環境のなかで、どのように現場の改革を進め、常に変化に対応し、収益を出し続け、従業員が活き活きと働き、成長していく会社づくりをしていくのか?
それには、会社全体で「こうありたい」というレベルを明確に描き、それに向けて確実にステップを踏んで生産性向上に取り組むことが大切だと考えている。

強固な基盤づくりがより高い次元の生産性向上を生む

確実にステップを踏んで生産性向上を目指すためにはまず基盤づくりが重要だ。これができてはじめて、次のステップである成長と自立の段階に進むことができるのである。
例えばものづくりの基本中の基本である5Sの徹底による安全な職場づくり、ムダのない見える化が進んだ職場、そしてどのような形で収益を出していくかの仕組みの確立というものが基盤となるだろう。これらをしっかりと行うことが次のステップへの足掛かりになるのである。
生産性向上を具体的に説明すると、投入する人数を変えないのであればより多くの仕事ができるようにし、仕事量が変わらないのであれば投入する人数を減らし、その余力を新たな付加価値創出に活用するということである。これを実現するためには、在籍している人員に仕事を与えるのではなく、必要な仕事に適切な人数の人員を充てるという考え方が必要となる。そのためにも現場に潜在するムリ・ムダ・ムラを徹底的に削減し、それにより少人化⇒活人化の流れを創ることで、改善を継続できる人づくり・組織づくりを行うのである。
変化という意味においては、コロナ禍により余儀なくされた働き方の変容をもポジティブにとらえ、今こそ、少人化⇒活人化を通して、付加価値の高い業務を増やし、現場の体質を変え、労働生産性向上を目指す活動に着手すべきだと考えるのである。

ホームコラム/海外レポートコンサルタントコラム難題が多い今だからこそ原点に戻って工場改革を