海外レポート

2021.12.16

インドネシアの産業構造の変化と展望

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様々な危機をしたたかに乗り切ったASEANの巨人

約14,000もの島々で形成された国土に世界第4位の人口を持ち、ASEAN最大の経済規模を誇るインドネシア。2019年に政府が発表した経済目標では、2045年までに一人あたりのGDPを約2.2万米ドルレベルまで引き上げて先進国の仲間入りを果たし、世界の五大経済国に食い込むという大きな目標を掲げている。
時代や世界情勢によって産業構造を巧みに変化させ、アジア通貨危機やリーマンショックをしたたかに乗り切り、現在は新型コロナウイルス感染症拡大のリスクに晒されながらも着実に成長の歩を進めるインドネシアの趨勢について、当コラムではいくつかのトピックをあげてみていきたい。

感染拡大下でも伸びを示す情報・通信事業

インドネシアでは今年春までの新型コロナウイルス感染者が累計150万人を超え、死者は4万人を超える。これは東南アジアの国々の中では非常に大きな数字であり、当然ではあるが市民生活や経済活動にも大きな影響が出た。
学校や職場が約2カ月にわたって閉鎖され、経済では運輸や倉庫、ホテル、レストラン、建設業、機械・設備、自動車などの分野での売り上げが激減。国内景気の落ち込みを招き、2020年の経済成長率はマイナスに転じた。
しかしながら情報・通信、保健衛生・社会事業などは大幅にとはいかないまでも増加傾向で推移した。
コロナ禍においても成長・拡大傾向にあった情報・通信分野において、過去、ニュース等で大きく報じられたのは「LINE」の同国への進出だ。2013年に現地法人を開設し、現在のインドネシア国内での利用者は1,300万人ともいわれる。インドネシアは台湾・タイ・日本の次にLINEのシェアが高い。そのLINEは、今年6月にインドネシアでデジタルバンキングプラットフォームの提供を開始し、そこでも話題となった。

天然資源依存経済からの脱却を目指すインドネシアの問題

製造業においての注目株は自動車とオートバイ市場があげられる。インドネシアの同市場は輸出ではなく国内生産・国内消費が特徴となっており、過去に現地での生産に協力した日系企業の車種の人気が特に高い。オートバイに至ってはシェアの90%以上がヤマハ製、ホンダ製が占める。
自動車、オートバイともにコロナ禍の影響で現在は生産台数、販売台数が落ち込んでいる状況だが、人口が多く国民の所得が上昇していることから、今後も潜在的に自動車保有人口の増加が見込まれ、中長期的な視野ではまだまだ成長の余地があると見るメディアが多い。
かつては豊富な天然資源を主な産業としてきたインドネシアだが、昨今はこれらに依存する経済からの脱却を目指しており、自動車・オートバイ市場もその牽引役のひとつと位置付けられている。
ただ一方で移動手段を自動車、オートバイに頼る首都ジャカルタをはじめとする大都会では、交通網を麻痺させかねない大渋滞が起こり、それを原因とする経済損失の大きさと環境汚染の問題を取り上げ、同国の経済成長に懸念を示すメディアもある。
インドネシアが情報・通信分野と自動車・オートバイ産業分野を基盤として先進国入りを果たすためには、得意分野の発展・進化だけではなく、それによってもたらされる各種のネガティブな問題にも対応していく必要があるだろう。

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