コラム/海外レポート

2021.12.16

コストの問題にまで踏み込んだ省エネと脱炭素化の取り組み

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執筆者:

北橋 達弥

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コストを意識した環境問題への取り組み

これからの時代、工場経営にとって大きな問題となってくるのは環境問題への対応である。
省エネ法では、エネルギー原単位を毎年、前年比1%ずつの削減が求められている。
昨今、取り上げられることの多い脱炭素化、CO₂の削減についても社会的責任、企業イメージの面において喫緊の課題として取り組むべきものであるが、その根拠となっているパリ協定の1.5℃目標達成には、CO2排出量として毎年4%以上の削減が必要で、省エネ法を遥かに超えた目標を立てて取り組む必要がある。ただ、これらの課題に向き合う際、かかるコストに対する考えはしっかりと持つべきだと考える。
CO₂削減については、外部からの再エネ等の購入という方法もあるが、これではエネルギー消費量に比例して課金されることとなり、コストがあがっていくことになる。
しかし、省エネ意識を高めて、環境問題に対応すれば、グリーン電力購入のような、継続的に大きなコストがかかる手段に頼る割合を減らしていけるのである。

コスト削減のポイントは省エネの意識・行動変革からスタートする事

テクノ経営によるCO₂削減コンサルティングでは、優先順位として第一に、省エネ活動による意識・行動変革を促し、省エネ意識の徹底、後戻りしないような活動を行っている。
大きな設備投資を伴わない、修理、運用改善、ムダ取り等により、活動初年度だけで5%以上のエネルギー消費削減になる場合も多い。
設備投資を先に行うと、「省エネは設備」という意識が根付き、修理や工夫の意識が薄れ、ムダの放置につながる。活動が第一策、投資は第二策である。それでも足りない部分をグリーン電力購入などで補填するという段階的な考え方が必要だ。
省エネを行わず、先にグリーン電力の購入といった方向からCO₂削減を考えてしまうと、脱炭素やSDGsの観点、温対法への一時的な対応には効果があるが、実際にCO₂排出量を減らそうという思考が停止してしまう。そのため長期的・抜本的な環境問題への対応ができず、それに対するコストはいつまでも削減できないままとなる。
コストを削減しながら、環境問題に対する社会的な要求を満たすためには、生産性向上に対する明確な目標設定や「会社に良いこと」と「社会に良いこと」の双方をバランスよく考えられる人材の育成など、まずは会社改革・業務改善を最優先で取り組む必要がある。

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