コラム/海外レポート

2021.07.13

組織連携力をつくる

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会社業績を上げるには部門を越えたコミュニケーションが必要である。そしてコミュニケーションと生産性には強い相関関係がある。「気兼ねせず言いたいことがいえる職場」では誰もが安心して業務に取り組める。お互いが相手のことを気遣っているから生産性が高くミスの発生も少ない。一体感のあるポジティブな組織であってこそ、部門連携によるプロジェクト成功の可能性は高まる。そして、それが会社の発展向上に反映されるわけである。
ところが現実には職場のコミュニケーションが十分に取れているという企業は少ない。ある調査によれば、約8割の企業が職場コミュニケーションに課題を抱えており、職場の人間関係にストレスを感じている従業員の数は実に約6割に上るという。
極端な話だが、たとえばバンジージャンプを跳ぶ人は、他人に「そっと背中を押してほしい」とは思わない。自分の意思とタイミングで納得して挑みたいと考えているはずだ。ところが会社組織では自分の意見が通らないことも多い。時には意に沿わないバンジーを跳ばなければならない場合もあるだろう。だから部門間の連携力が必要なプロジェクトでは各メンバーとのコミュニケーションを密にしていくことが必要だ。そして求心力となるリーダーの役割も重要になる。

組織連携力についてコミュニケーションを阻害する3つの要因がある。それは「相手のことを知らない」「自分のことを話す機会がない」「方針や考え方が共有化できていない」という問題である。
「相手のことを知らない」「自分のことを話す機会がない」という問題は表裏一体の関係にある。誰がどんな仕事をしているのかわからず、自分との関わりがないのではどうしても会話が生まれにくい。お互いに対する関心の欠如がコミュニケーション不足を引き起こしている。ここは自己紹介から始まって、お互いの接点を確認し合うことで興味も沸いてくるものである。
「方針や経営層の考え方が伝わっていない」という問題は、情報を発信し受け取れる文化や風土をつくることの重要性を表している。ただ目標数字だけを示されても、その目的の具体的な説明がなければ仕事の方向性を見失いモチベーションも低下する。これは管理者やリーダーに求められる重要な役割の一つである。
強い組織の特色は、目指すべき目標を共有しお互いに協力できるワンチームの一体感。社内の出来事や経営者の想いを伝える場など、身近なところからコミュニケーションの糸口を探り、情報共有していくことも連携力を強化する方策として有効ではないだろうか。