コラム/海外レポート

2021.03.29

「駅そばロボット」にみる人と機械の協業

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人とロボットが協働する職場、そんな風景が日常のものになりそうだ。
たとえばJRや私鉄でよく見かける「駅そば」の店、そこで人と調理ロボットの協業にむけた実験がはじまった。場所はJR中央線の東小金井駅にある駅そば店。JR東日本とレストラン業者、ロボットメーカーが組んで3月中旬から1カ月をかけた実証実験が進められている。
調理ロボットの役割は麺をゆでる・洗う・締めるという作業。専門的な話になるが、そばには「茹で麺」と「生麺」があり、ひと手間が必要な「生麺」の方が格段にうまいのだ。今回の調理ロボットの役割もこの「生麺」を上手に茹で上げることにある。出し汁と具、麺を丼に盛り付けて供するのは人の仕事である。
ロボットは1時間に40食の麺を茹で上げる能力を持つが、これは8時間稼働で従業員1人分の働きに相当するという。いちばん難しいのは70㎝×150㎝という狭い空間で、人とロボットが隣り合わせで作業を続けること。人とロボットの動線が重ならない工夫が必要なのである。
調理スタッフが生そばを「てぼ」と呼ばれるザルに入れる。「てぼ」は三連になっており並行処理で三杯分のそばを茹でることができる。ロボットが行う作業はこうだ。まずお湯が沸いている茹で場に運び、生麺を加熱する。ソバの味は、微妙な茹で時間が味や食感に影響を与えるが、各工程の時間経過はタブレットで確認できる。この時間の正確さはロボットならではで、これは安定した品質を生み出すかもしれない。次に「湯切り」のあと、横にあるシンクで「洗い」に入る。これは麺のぬめりをとることが目的だ。そして、冷水の入ったシンクで「締め」の最終工程を行う。ここまでをロボットが担当する。
旧来、製造現場で使用されてきた産業用ロボットは専用ラインで稼働していた。しかし、近年になって産業用ロボットも小型化が進み、狭い空間でも使用できるようになり、同時に高度で複雑な工程や柔軟性が要求される作業を人と共に行う「協業ロボット」に注目が集まっている。いまでは製造業のみならず、今回のような飲食店など、さまざまなシーンで活用されるようになってきた。
人と共に作業する「協業ロボット」に求められるのはまず安全性、そして使いやすさ。通常の産業用ロボットでは動作範囲に人が立ち入らないフェンスが必要だったが、人と並んで作業する「協業ロボット」にはそれがない。労働力不足を補い、安定した品質を生み出すためのロボットとの協働はますます身近なものになるだろう。

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