コラム/海外レポート

2010.12.05

間接業務改革のポイント(2)

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執筆者:

丸田 幸寛

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この記事は5年以上前に掲載されたものです。掲載当時の内容となりますのでご了承下さい。
3.成果を生み出す間接改革
(1)成果を生み出す組織体制

新しい間接部門改革では、組織の知恵と努力を結集し、効率化を図るだけでなく、戦略的に成果を生み出す機能の強化を図っていくことが必要だと考えます。戦略機能とは、企業の成果を生み出すための体制とその行動のことです。
成果を生み出すこと、その体制である目的機能集団を育成することが本来の間接改革の目的のはずですが、過去の間接改革の要求事項は、本資料の冒頭(開発業務改革のポイントⅠ)で述べたように、現場改革の次、あるいは、直間比率の是正、間接の効率化(コストダウン)といった2次的な課題がほとんどで、その改革改善のテクニックを求めるニーズが強かったようです。
私たちテクノ経営は、モノづくりの生産現場や開発などで、成果を生み出すコンサルティングを行っています。製造現場の改革であれ、より大きな成果を生み出せる企業とそうでない企業との差は、間接(スタッフ部門)として改革に効果的に参画した人たちに依存するところが高いと言えます。現場での問題の源流は、それを作りこむ製造技術や設計・開発にあり、生産部門間での問題解決のコミュニケーションが活発になり、間接部門がその問題の対処と根本問題の対処に機能的に働いたときに、大きな成果となって実を結びます。これらを、顧客に対する教育でなく、成果を生み出すことを目的としたしかけであるPJ体制(テクノ経営ではこれを十文字組織と言う)の中で、組織と人をいかに機能させるかに重きを置いています。既存の組織の形態では、十二分な成果をあげることはできません。
これはなぜかと言うと、既存組織は、目的を達成するためにふさわしくない形態だと言う事です。業務のつながりを考慮せずに、一人ひとりに何らかの業務を配分して行った結果です。
基本的に仕事は流れです。Inputがあって、付加価値であるOutputを生み出すことが業務です。これらは最終的に企業の業績に直結することが必要であるため、ここで係わりを持つ方々が、流れをつないでいくことになります。しかしながら、過去の大量生産方式がそう出会ったように、現状の大きな会社の中での業務はバッチで処理しているのです。生産方式が、多品種少量、スピード化、1個流しと変化しているのに対し、間接の業務が取り残されてしまい、なかなか変えられないのが現状です。情報のよどみがネックになっています。モノが速く流れても、情報が流れがよどんでいる組織は、将来どうなってしまうのでしょう。
この点、中小企業の方が被害は少ないでしょう。ある程度人材のやりくりをしている中小企業では、幹部社員の人材募集の案件で、マルチ人間を喉から手が出るほど欲していました。大企業はと言うと、専門を要求します。
成果の源泉は人であることは間違いないことですが、これを生かす組織のあり方・構造そのものが、最も大きな問題のはずです。これらの組織のあり方は、一般の企業内ではあまり議論されていないようです。間接部門としての課題は効率化より、“人・組織のありかた”そのものが根底に必要であるはずです。
従来の間接部門の考え方は、間接業務そのものの業務分析から、その機能の見直しを行うやり方が主流でした。この方法の欠点は、成果そのものが目的ではなく、間接的に成果をあげられる時間の比率を増やしていく、または、そうでない業務を減らしていくことでした。その後、業務のあるべき姿を明確にし、間接部門の生産性の向上、業務の見える化から、技能伝承を推進する方法へと進化し、成果アウトプットをより引き出しやすい手法へと変革してきています。ここでは、そのさらに先、成果そのものを出すための改革活動について議論していきます。