コラム/海外レポート

2011.04.18

回せていますか? PDCA

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この記事は5年以上前に掲載されたものです。掲載当時の内容となりますのでご了承下さい。
回らないPDCA

「マネジメントサイクル」とか「デミングサイクル(サークル)」などと呼ばれているPDCAサイクル。ちゃんと回せているだろうか?
PDCAを1回まわしたら、次のPにつなげろというものだ。
ISOや労働衛生マネジメントはこのPDCAサイクルを推奨している。ところが、実際にはうまく回せていないのが実情である。
デミング博士は、確認よりも入念な評価をすべきとして晩年、CheckをStudy(研究・評価)と置き換えたPDSAを提唱した。今日は、さらにひとひねりした、回せる「PDSA」について紹介したい。

4拍子から3拍子へ

PDSAとは

の4ステップ

私は、Study→Actではなく、Study&Analyze=研究・分析(測定分析)であり、かつP→D→SAの3拍子で回すことを推奨している。Analyzeのあとは2回目のPlan=計画修正の2サイクル目に入る。そうすることでPDSA2回目のDo、そして次のSAを行ない3回目のPlan。止まることなくクルクル速く回ることになる。
3拍子で回すことは、脳科学における感情→思考→行動、行動様式のWant→Plan→Action、武道の心・技・体など人の行動の基本につながるものだ。

カーナビが教えてくれるPDSAサイクル

このPDSAサイクルの回し方を教えてくれるのがカーナビゲーションシステムだ。
マネジメントサイクルとカーナビのサイクルを比較してみた。
PDSAで重要なのは計画である。計画は目標設定とは異なる。計画とは、目標のブレークダウン、予算あるいは年度計画に示された目標
ゴールに到達するための段取りをすることである。具体的には、目標達成のために経営資源の準備、組織作り、人と仕事の割り当てをすること、野球で言うラインナップ、サッカーで言うフォーメーションである。

計画段階でもう一つ大切なことがある。それは中間チェックポイントの設定である。企業活動をマラソンに例えることがあるが、最終ゴールをいきなり目指すのではなく、5kmごとのラップを設定してペースを作るように、ビジネスシーンでも中間チェックポイントをあらかじめ設定しておくことが大切である。
次の「D:実行」を成功させるカギを計画が握っているといっても過言ではない。
目標の「いつまでに、何を、どれだけ」に向かって、「誰が、どのように」を決めていくことが計画であり、その計画通り実行していくのが「D」のステップである。
そして「SA」のステップで大切なことは、「測る・計る」こと。まさにカーナビシステムがGPS衛星の電波(=時間情報)を受信し演算分析して現在地を測位することである。

誰が回す?PDSAサイクル

PDSAは勝手に回るものではない。PDSAを回すのは、従業員であり「現場」である。
経営トップや管理者が目標をブレークダウンし具体的な計画を立てること、実行段階では従業員を動機付けする役割を担っているのである。
報告や数字だけが評価分析ではない。経営トップは管理者や現場に任せっぱなしにしないで、時間が許す限り現場に足を運び、自らの目で確かめることを忘れないでいただきたい。