コラム/海外レポート

2013.08.01

改善・改革を継続させるヒント(1)

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執筆者:

中川 勝之

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この記事は5年以上前に掲載されたものです。掲載当時の内容となりますのでご了承下さい。
はじめに

企業を取り巻く経済環境は、年々厳しさを増すばかりです。企業が生き残り、そして勝ち抜くためには徹底したロス・ムダの排除が要請され、その対応の遅れは絶対に許されなくなって来ています。 そのような状況の中、改善・改革の取り組みの実態を拝見しますと、一過性の取り組みになっているケースが多く見られます。
今回は、その代表的なパターンを取り上げて“改善・改革を継続させるヒント”というテーマで、3回に渡り重要なポイントをご紹介して参ります。

第1回: 「問題意識と当事者意識を養う」
第2回: 「組織連携をノルマ(仕事)にする」
第3回: 「改善余地を見える化する」

第1回:「問題意識と当事者意識を養う」
(1)改善・改革が継続しないのはなぜ?

よく見られるのは、“改善・改革”を推し進めるために、トップダウンのテーマを中間管理職が主導となって行っているものの、実際に活動していく現場のひとりひとりが参加していない、というケースです。
一部の人だけが期限ぎりぎりになってから必死で取り組み、目標を達成した後に力尽きる。それを繰り返す内に、次第に活動が行き詰まっていく。この構図が非常に多いと感じます。
それでは、こういったケースの場合、どこから見直していくべきなのでしょうか?

(2)改善・改革のベースを見直す

そもそも、“改善・改革”を推し進めるためには、全従業員が協力していかなければ、目標を達成することは到底困難です。であれば、全従業員の協力を得るためのベースづくりを優先する必要があります。
その場合、どこに焦点を置いたベースづくりをする必要があるのでしょうか?一言でいうと、全従業員が持っている“問題意識と当事者意識のレベルを上げ続ける”という点です。
その具体的なポイントを、以下にご紹介致します。

(3)問題意識を養うポイント

社内で改善提案制度がある場合、用紙には簡単な様式でも、問題・原因・対策の欄が設けられています。しかし、それぞれの欄に記載されている内容を見てみると、原因を正しく捉えられていないケースが多々あります。
図1は、それを簡略化した例です。“誤った捉え方”は、原因が短絡しています。これは、対策を先に思い付いて、その裏返しとして、問題を上げているからです。
“正しい捉え方”は、問題を「どう困っているか、どんなムダがあるか」として捉えています。だから、原因が出せて、その対策も出せています。
従って、問題意識を養うポイントは、対策先行ではなく、純粋に問題を捉えること。ここを外さない事です。

(4)当事者意識を養うポイント

問題意識を養うために、“問題だけを純粋に捉えて書く”“原因・対策は書かなくてOK”という取り組みをされている例も多くあります。 この場合は、他責の問題が多く出る傾向にあります。例えば、「材料が悪い」「設備が悪い」「前工程が悪い」などです。 すると、受け取る側はスタッフの場合が多く、本来、現場との連携で改善すべきところが逆に連携が悪くなるといった例です。そして、当事者意識を養うことからも、どんどん離れて行きます。
ではどうすれば良いのでしょうか?まず自分の行動を省みて、出てくるムダを問題として取り上げるように仕向ければ良いのです。
つまり、当事者意識を養うポイントは、自責を促すテーマでコントロールする。という事です。

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