コラム/海外レポート

2013.08.20

改善・改革を継続させるヒント(3)

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執筆者:

中川 勝之

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この記事は5年以上前に掲載されたものです。掲載当時の内容となりますのでご了承下さい。
はじめに

第2回では、“改善・改革の継続”について、「組織連携」のポイントをご紹介しました。 連載の最終号は、それを踏まえた上で、忙しい中間管理職の皆さんが、限られた時間の中で、いかにターゲットを絞って“改善・改革”を推し進めて行けば良いのか、「改善余地の捉え方」をテーマとして、そのポイントをご紹介致します。

第3回:「改善余地を見える化する」
(1)人的稼働率を把握する

「生産の効率を上げる」という事に対して、中間管理職の方に求められていることは何か?と問われた場合、期待されているのは、“思いつき”や“場当たり的”なものではなく、数値を意識した改善・改革です。 しかし、“現場のトラブル対応”、“お客様や社内の電話対応”など、日々 目の前の事に忙殺されて将来を見据えた取り組みが出来ていないケースが少なくありません。
そうであれば、「全体の中で、1番悪い所はどこなのか?」という事を知る技術、「その要因は何なのか?」という事を分析する技術、これらを短期間で習得する必要がありますが、ここでは考え方のみご紹介致します。

まずは、「全体を知る技術」として、人的稼働率の把握があります。一般的には、IEのワークサンプリング手法で価値作業比率を人的稼働率の指標にしますが、実は1つ欠点があります。
それは、価値作業のスピードを落として作業すると、ワークサンプリングの価値作業比率が上がってしまう事です。そこで、IEのレーティング手法と掛け合わせる事で、価値作業比率を正しく捉えた人的稼働率を把握することが出来ます。

(2)ロス要因の分析

ワークサンプリングとレーティングが測れるようになったら、各作業比率が何パーセント位かという事が分かります。つまり、職場ごとに「手を付けるべき改善作業は何か?」というターゲットが絞られます。
すると次のステップは、「ロス要因を分析する技術」です。
例えば、“運搬”の作業比率が多い場合、“人・設備・モノ・方法”と“距離・速度・頻度”の2軸でロス要因分析シートを作成します。 そして、グループワーキング方式で「どんなロスの要因があるか?」という事を、全て洗い出して行きます。他の作業も同様に、ロス要因を洗い出して行きます。少し時間は掛かりますが、要因を全て洗い出し終わると自信が持てるようになります。
「何が来ても自分達は、要因を洗い出すことが出来る。それを調べるためのチェックシートも作れる。」という自信です。実は、このプロセスが分析技術習得のカギなのです。

(3)最後に

3回に渡り、「改善・改革を継続させるヒント」について、述べさせて頂きました。
“改善・改革”に取り組まれている方々の多くは、「“手っ取り早い改善・改革手法”や“答えを知りたい”」と思っておられますが、そのようんなものは存在しません。
正解のない問題に対して、「事実を把握し、自分達ならどうすべきか」という答えを見つけ出すプロセスが回るようにすることが大切なのです。
自社の“改善・改革”の取り組みを振り返った時、「これまで述べてきた重要なポイントが抑えられているか」を確認し、うまく機能していない点に気づき、見直すきっかけになれば幸いです。

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