コラム/海外レポート

2014.03.01

確実に成果につなげる指標を基軸とした改善活動 (前編)

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この記事は5年以上前に掲載されたものです。掲載当時の内容となりますのでご了承下さい。
改善で成果の出る企業・出ない企業の差は指標の使い方にある
はじめに・・・

ほとんどの企業が何らかの形で改善活動に取り組んでいますが、成果の出る企業と出ない企業があります。改善活動が長続きせずに短期間で自然消滅したり、形骸化した活動を長年繰り返している企業もあれば、連綿と改善活動が継続され、確実に成果を挙げている企業もあります。 これらの違いには様々な理由が上げられますが改善活動を継続し、確実に成果につなげている企業に共通して言えることは、“指標を上手く使いこなしている”ということです。

1.改善を一言でいうとなんでしょうか?

改善とは効果の大小に関わらず、目の前にある全てのムダを取ることです。 しかし小集団活動や提案制度を中心とした現場改善では、身の回りの目についた比較的効果の小さなムダや不具合の改善に終始することが多く、小さな改善効果をいくら積み上げても工場の経営に反映されず、 時間の経過とともに改善ネタの枯渇や小粒化によって現場では改善に対するモチベーションが低下、マネージメント側から見れば、改善はやっているが成果が見えないという不満につながっていないでしょうか。

2.企業や工場における改善活動とはなんでしょうか?

改善活動とは『職場(または工場)の機能と価値(実力)を高め利益貢献をする』ための活動です。“何を変えたのか”だけではなく、その後に“何が変ったのか”を言える活動が改善活動なのです。

何を変えたのか(改善作業とその効果)+ 何が変ったのか(活動成果と指標の変化)

職場の機能とは果たすべき役割と職場としてのアウトプットです。価値とはこのアウトプットに対する水準であり現在の水準が職場の実力とも言えます。この機能と価値を客観的、定量的に示すものが“指標”です。改善活動とは工場や職場で管理している指標の数値を一つ上の水準に上げて、最終的にはコストという経営指標を変えることで企業利益に貢献することといえます。

3.指標管理の目的と重要性を認識する

多くの企業様に伺う機会がありますが、指標の整備が不充分であったり出来高グラフが単なる掲示物に留まっている現場を多く見かけます。指標とは自分たちの職場をより良くして行くためのツールでなくてはなりません。 指標とは現在の水準を正しく表し、定められた基準や水準からの逸脱や、目指すべき姿(目標値)との乖離(差異)を明確にすることで職場全員の気づきを促し、問題を共有化し、具体的に何をすべきかを明らかにして問題や課題を解決(改善)して行くツールです。 指標をグラフ化する際には、(1)過去(推移)が見える、(2)今日(現在)が見える、(3)未来(目標)が見える。
この“3つの見える”が大切なポイントです。指標から解決すべき問題を形成し改善してゆく方法を“指標管理による改善活動”といいます。

4.守る管理と変える管理、指標の2つ機能

管理の階層、改善の対象、職場によってさまざまな指標がありますが、指標を管理機能という面から考えると守る管理と変える管理の2つの機能に大別できます。

4-1 指標は工場を日々管理するために必要な管理ツール(異常管理)

工場を正しく管理するためには定められた管理の基準(モノサシ)が必要です。
これはライン管理図と呼ばれ、日々の管理に用います。職場として守るべき数値や基準を明確にすると共に、この値からの逸脱を異常として迅速に捉え、素早く是正(改善)を行うことで正しい管理状態を維持する活動を「守るための管理と改善活動」です。 ライン管理図のポイントは、知りたいこと、見たいことを見える化することです。

4-2 指標は工場を変えるために必要不可欠な管理ツール(目標管理)

目標管理とは変える管理です。最初に目指す姿を明確化することで改善の目的と目標が決まります。目標値は「目指す姿」の定量値であり達成すべき水準となります。 達成すべき目標を掲げ、解決すべき課題を克服し目標達成するまでの一連の活動が「工場を変えるための管理と改善活動」です。 目標管理とは指標に表された現在の水準から一つ上の水準へと価値を高め、職場を変える、工場を変える改善活動で、ここでも指標は重要な役割を担っています。目標管理のポイントは進捗管理です。

今回は、改善活動における「指標」と管理ツールの重要性についてご説明しました。後編では、改善活動における「指標」の活用ステップについてお話いたします。

以上

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