1964年(昭和39年)の創業から60年以上、“創造”をキーワードに顧客の多様なニーズへ応えてきた株式会社三洋。農業用の鉄骨ハウスやパイプハウス、穀類搬送機器といった農業資材をはじめ、包装・梱包・土木資材、物流資材の保冷・保温ボックスなど、さまざまな製品の開発・生産を行う。ライバルである安価な外国製品に負けない国内工場をめざし、生産性150%という高いハードルを掲げ、自社に合った方法の模索と挑戦が始まりました。

【背景と課題】
安価な外国製品へ対抗するために
掲げた生産性150%への高いハードル
創業当時はポリ袋やカバーなどを主に製造していました。一番初めのヒット商品はコンバイン袋、お米を刈り取る機械であるコンバインにつける袋でした。大型機械の普及に伴って、大容量サイズの穀類搬送用フレキシブルコンテナとして発売を開始したところ、だいぶ時流にのったといいますか、一年中製造していたと記憶しています。できるものだったら何でもやろうという気概、それは昔から変わっていません。営業がお客様の悩みやニーズを聞き、それをもとに商品を創り上げていく。こうした自社で設計し、完成できるところが三洋の強みです。
現在は農業資材に加え、物流関係の保冷ボックスが事業の大きな柱へと成長していますが、ライバルは安価な外国製品。このままでは勝てない、それは嫌だなと。しかし、単純に価格を下げればいいというものでもなく、品質を保ちながらどうやって戦っていくのか。だったら、生産性を150%まで上げれば対抗できるのでは?と考えました。海外に負けない日本の国内工場になろうとまず決めて、とにかく生産性の向上に取り組みました。
実際にやってみると、これが全然簡単ではなくて……。できそうな気がしない。無理だろうという感じでした。また、過去にもコンサルティングを受けたことはありましたが、部分的な改善に留まり、全体がリンクせず、成果につながらないといったことがありました。そうした中、テクノ経営さんからご連絡いただき、1日工場診断をお願いすることになりました。
【選定と導入】
印象に残った全体をリンクさせる提案
ムダの見える化と自社に適した改善へ
これまでに実施したコンサルティングでは、瞬間的には改善効果が出ているように見えても、目先のムダにばかり着目してしまい、成果につながらない。現場も成果が出ないので、改善=嫌なものみたいな意識になっていました。
1日工場診断を実施後、テクノ経営さんからは、作業時間の短縮といった改善はもちろん、生み出した成果を何に活かすのか、そういった全体をうまくリンクさせるようなご提案をいただき、それがコンサルティング導入の決め手になりました。
実際の生産現場では、これまでに試したことがない方法などをいろいろと教えてもらえるのではないかという期待感があった反面、また何か活動を始めるのかといった声もありました。しかし、活動を開始すると、分からない部分は丁寧に教えていただけたり、どうしてもうまくいかなかった生産計画や管理について仕組みを作っていただけたり、その効果を実感しています。また、標準時間を導入して生産性とムダを見える化し、多品種個別生産であるうちの工場に合った改善手法を教えていただけるなど、納得して活動に取り組めるからこそ、ポジティブな感情で前に進んでいきそうだと感じています。
2024年の5月頃からは、会社から全員に貸与する形でタブレット端末を導入したのですが、データを集めるというのはすごく大変な作業で、導入当初は抵抗や戸惑いがありました。使用方法を動画で録画して配布したり、こういった機器の扱いが得意な若手に教えてもらったりしながら、徐々に慣れていった感じです。現在では、日々の日報はもちろん、材料の在庫把握や生産管理にも活用し、全体の状況を細かく可視化することができています。
私たちの事業は農業に関わる部分が大きく、また保冷ボックスはさまざまな物を運びますが、その中でも食品関連の運搬が多い。つまり、すべて食べ物につながっています。日本の食料自給率は低く、輸入品に頼っているのが現状です。今後は物が手に入らないといった状況もありえます。だからこそ、やはり国内で農業を発展させ、食料自給率を上げていくことが必要だと思います。私たちは農業に関わる方々のお手伝いをして、その対価をいただいています。自分たちの成長は少なからず、日本の国を守るということにもつながるのでと考えています。もっと仕組みを変えて、今までの農業資材や物流資材の会社とは違う会社になり、食料を通じて世の中に貢献できる会社になっていきたいですね。
テクノ経営総合研究所では今後も経営革新セミナー、1日工場診断を通じて、企業変革のきっかけをつくるための活動を推進してまいります。
(公開日:2025年5月2日)
PDFダウンロード
【工場診断事例】株式会社三洋様
ご質問・ご相談など、お気軽にお問い合わせください。
1日工場診断について相談する