山洋電気株式会社 サーボシステム事業部 神川工場様

「モノごとつくり」で進める 一貫生産体制の構築

 本ページでは、山洋電気株式会社 サーボシステム事業部 神川工場様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
 山洋電気株式会社神川工場は、長野県上田市に位置する。東京ドームの1.4倍という広い敷地の1/4を緑地化して、太陽光発電や雨水利用設備など 環境保護を考慮した最新工場である。画期的な生産技術である「誘導システム」を構築、製品の加工から組立まで一貫生産を行っている。 コンサルティング導入3年目、 着実な成果を生み出す同社工場にお伺いした。
(※ASAP 2010年 No.5より抜粋)

山洋電気株式会社 サーボシステム事業部 神川工場

山洋電気株式会社 サーボシステム事業部 神川工場(左)常務執行役員 サーボシステム事業部 事業部長 宮田 繁二郎氏
(右)執行役員 サーボシステム事業部 副事業部長 北沢 一幸氏


はじめに神川工場の概況についてお話しください。

  当工場は、2008年4月に起工し、2009年3月に竣工しました。その後、設備の移動を行い、5月連休明けから稼動しています。工場の敷地面積は 67,000㎡、製造関連の社員は800名位で、間接部門も含めると950名程度です。 当工場ではACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータ、 リニアサーボモータ等の製造を行っております。 生産規模は月産で、ACサーボモータ55,000台、DCサーボモータ8,000台、ステッピングモータが 120,000台となって おります。

今年でコンサルティングは3期目に入りましたが、最初に導入された背景にはどのような課題があったのでしょうか。

  導入しようと決めたのは世界同時不況による景気減速の少し前で、全社の生産量が落ちてきたのでこれを上げるためにいろいろと模索していた時期と 重なります。その中のひとつに三つの工場を一つにまとめて生産性を上げるという企画がありました。そうした時期に、テクノ経営の工場診断を受ける機会があり、 プレゼンテーションで指摘された内容とわたしたちが考えている思いがうまくマッチングしたため導入を決めました。わたしたちとしても、そういう課題解決を 実践してくれる人がほしいと思っていましたから。提案内容から生産性が上がるだろうという実感を受けました。そのあと世界同時不況が始まったわけで タイミングとしてはよかったと思います。そういう面ではスタートする時期もリーマンショックが起こったときからだと難しかったでしょうね。 そのちょっと前だったからよかった。コンサルタントを受けるのも、工場を作るのもそうでした。起きてからだと両方ともできなかった。

それまでは現場にコンサルティングは導入されたことはなかったのでしょうか。

  最初からコンサルティング導入を考えたわけではなく、たまたま診断を受けた結果、導入することにしたわけです。それまでも、他社工場を見学する 機会があり、コンサルタントを使われているという話はいろいろと聴いていましたが、当社に当てはめて考えると、果たして上手くいくだろうかという不安があり、 なかなか導入する踏ん切りがつかなかったのです。

そういった不安は解消されましたでしょうか。

  最初は本当に効果があるのかなとか、コンサルタントとわたしたちの考えが合うのかなとか、いろいろ不安がありましたね。実際にやってみて、コンサルタントの 考え方というものがありますので、その辺も考えながら、果たして入れたほうがいいのか、入れないほうがいいのか、入れないなら自分たちでやるしかないのですが、 しかし、なかなか自分たちでやるという時間もなくて、というときに良いタイミングで診断を受けたらそういう結果だったというわけです。本格的にやればそれなりの 効果が出そうだという実感がありました。

組織論の2・6・2法則では、物事に前向きな人とそうでない人が各々2割の確率で出てくるといいます。コンサルティングの場合も導入に抵抗する人が 少なからずいるものです。貴社の場合、導入後の皆さんの反応はいかがでしたか。

  最初はやはり抵抗がありました。なにぶん今まで外部の指導を受けた経験がありませんから。はじめはコンサルタントに対して「こいつは何者だ」と いう視線を投げかける人もいたようです。
  しかし、活動が進む中でメンバーの目付きが変わってきたなと実感する瞬間がありました。実際、自分たちで指導を受けてやってみて、本当にそれだけの 結果が出てくるといったところで気がついてきたんでしょうね。やはり机上ではなくて実践、その現場での指導者と作業者が言われた通りのことをやってみたら 結果が良かったということです。それで自分たちで自主的に改善をするようになった。それが面白さに変わっていくと目付きも変わる。前向きになってきたということです。

そういう最初の抵抗が強い中で常務様や役員様が活動上のサポートなどで苦労されたことはありましたでしょうか。

  あまり煽ると逆効果なので少し控えめにしておこうという感じでした。あまり言い過ぎるとかえって萎縮するということもありますので。

実際の活動に入っての目標と成果はいかがでしたか。

  生産現場の生産性を150%に上げることを目標に、プロジェクト名も「超プロ50」としました。正直にいうと、最初のころは「これで本当に目標を 達成できるのだろうか」と思っていました。しかし、半年が経つころ急に活動のレベルが上がりましたね。そして、結果として、1年目の終わりには160%くらいまで 生産性が伸び、大きな手ごたえを感じました。ただ、仕事がなくて、いかんせん売上が少なかったですから、会社の業績としてはまったく利益が出ない状態でした。 確かに、生産性という尺度を見たときは上がっていますけれども。非常に景気の悪い時期でしたから、国からの休業保障がでましたので、効率よく仕事をして休日が 増えるとその分は休業保証に回ります。ですからやったことはムダにはならなかったのですが。
  さらに活動2年目に入り、活動開始の時と比較して180%まで生産性が伸びました。1年目、2年目で基本的なところ作業のやり方とか、工場のレイアウト改善 などとかがきっちりとできましたので、そのあたりの努力がいま、おおいに生きていると思います。
  また、工場のモノの流れを調査した結果、工場管理の動きとか外注との関係で随分ムダがあることがわかりました。それを活人化により、外注に頼らず工場内で 一貫生産できるようにしました。これは一番大きなコンサルティングの成果でもあります。現在の目標として、3年目の終わりには生産性210%まで持っていこうと 考えています。

世界で通用する製品づくりを目指して、貴社が掲げるモノづくりの考え方をお聴かせください。

  当社では、「モノ・つくり」に「ごと」をつけて、「モノ・ごと・つくり」と呼んでいます。モノは製品力、世界№1の品質と性能を持った製品のことです。 わたしたちのお客様は一般の個人消費者ではなくて、製造装置とか工場設備といったものを作られているお客様が主力なので、そういったお客様の製造装置のニーズに あわせて、最高の性能を出すということ。いいかえれば製品の開発力とか製品力ですね。
  「つくり」は製品をいかに短時間で効率よく作るか、そのための管理者の能力。人づくりから始まってモノづくりの関係に対するこだわりがそこにあります。
  真ん中の「ごと」なんですけれども、これには二つ解釈がありまして、一つは製品の販売形態や新しい市場開拓というビジネスモデル。もう一つはモノづくりの 仕掛け・仕組みの「ごと」です。いいモノをいい人がつくるわけですが、そのためのモノづくりの仕組み、例えば、設備とか、製造システム、生産技術力のことです。

モノつくりの仕組みとは具体的にどういったことなのでしょうか。

  当社では「誘導システム」と呼んでいるモノつくりの仕掛けがあります。「誘導システム」は、生産誘導、検査誘導、出庫作業誘導、サイクル作業誘導の 4つで構成されています。
  まず、生産誘導とは作業要領の完全な電子化です。作業指示がコンピュータの画面に表示されます。その作業指示に応じて、例えばエリアセンサーを使ったり、 表示器を使ったりして、次はここに手を出せとか、この部品を取れといったコンピュータからの指示に従って作業をするわけです。その通りの作業をしないと、 次のステップに進まないようになっています。例えば、ネジを締めるといった作業もドライバーにトルクセンサーが入っていまして、指定のトルクで締めたか どうかということもフィードバックされるわけです。ですから、作業の正確さが一つの作業ごとに確認できる、そういう仕組みです。しかも、いつ・誰が・どういう 道具を使って作業したか、すべて記録されるため、クレーム等があっても作業記録をトレースして確認でき、作業の信頼性が高くなっています。
  二つ目の検査誘導は検査作業の電子化です。従来はチェックシートに検査者が計測器で計測したデータを一つずつ記入していたわけですが、そういった作業を 全部コンピュータからの指示で行えるようにしました。例えば、ノギスやマイクロメータといった計測器を無線でつなげることにより、ボタンを押すだけで コンピュータにデータが飛んで数値が基準に合っているか判定できるようになりました。合格であれば、次のステップに進むという仕組みです。製品にはバーコードを 付けており、機械にバーコードを読ませるだけで、その製品の情報が瞬時に画面表示され、それで検査スタート。検査結果はネットワーク経由で本社のサーバに 保存されます。今まで作業者が紙とか道具を使って行っていた仕事が一切なくなります。
  三番目は出庫作業誘導です。これだけの工場ですから倉庫スペースもかなりあります。タテが180m、横が110メートル。このエリアの中に倉庫が点在していますので、 その場所を探すのも一苦労です。熟練者であれば品番を見て場所を探すことも容易ですが、そうでない人にはわかりません。まして、どういう順番で回れば部品を 集めるのが楽なのかがわからない。そのためにロケーションをつけて、棚に七色で発光する表示器をつけています。これからやる作業で上位の品番を入れると順番に Aエリアに行きなさい、といった指示が出る。指定されたエリアの棚に付けてある表示器で出庫する部品の所在を誘導します。出庫処理が完了したデータで在庫から その数が差し引かれますので、リアルタイムで在庫計算もできてしまいます。これは棚卸しのときにも大活躍します。従来ですと、棚卸しカードというものがあり、 大勢で電卓をたたいて数字を出したものです。それをコンピュータに入力する作業もありました。下手すると半月くらいかかるんですね。これですと瞬時に完了する。
  最後のサイクル誘導はコンサルタント先生のご指導の賜物で、従来の「成り行き生産」を「計画生産」に変革したものです。機械加工で効率を考えると、機械を なるべく長時間動かしたい。作業者はあまり段取り替えをしたくないという傾向で、生産計画とは違った動きをすることがあります。作業指示を出してワーク交換を促し、 計画生産に持っていくのがサイクル誘導システムです。

これだけのシステムを自社で開発されたのでしょうか。

  そうです。開発には労力がかかりましたが、現在ではフル稼働して効率を上げています。
  誘導システムのメリットは、今日来た派遣社員でもすぐ作業ができるようになることです。例えば、誘導システムには、この作業は4分30秒が標準時間ですという 表示がでます。当然はじめての作業ですので15分くらいの時間がかかることが多いのですが、作業手順や品質は保証されます。また、目標と実際の自分の時間との 差が出てきますので、作業者のやりがいにもつながります。
  最近では、工場見学にお越しいただく企業様からも関心を持っていただくことが多く、システムを 販売することも考えております。ただ、導入にはコンサルタントがいないと難しと思いますが。

最後にテクノ経営のコンサルタントに対するご感想をお聞かせください。

  強いて言えば、なかなか先生とわたしたちがお話する機会が少ないことです。最低、月1回くらいは状況を伺いベクトル合わせの機会を持ちたいと思って いるのですが。先生のご都合もありますが、うちの事務局の日程調整もまずいようです。

当社の方でもコンサルタントのスケジュール調整を行って、月1回はベクトル合わせの機会が持てるように配慮させていただきたいと思います。

―― 本日はありがとうございました。

山洋電気株式会社 サーボシステム事業部 神川工場