海外コンサルティング事例

ASAHI PLUS CO.,LTD.様

関連タグ:
  • タイ
  • ミドル層人材育成
  • ローカライズ
  • プラスチック

トップと従業員の絆で
今そこにある危機を乗り越える

SNSで記事をシェアする:

  • LINE

お客様のタイ進出を機に、中国に続くグループ2番目の海外拠点として設立

杉浦氏: 当社は2011年に親会社である旭化学工業株式会社の海外における2 拠点目として設立されました。設立経緯としては、私が中国にいる時にお客様からタイ進出計画の話をお声掛けいただき、親会社の意向を受けてタイの状況を視察したところ、お話をいただいたお客様だけでなく、裾野が広くその他の可能性も有りそうだとの判断から、検討の結果最終的にタイへの進出を決定しました。
 当社は射出成形によるプラスチック成形品の生産を行っていますが、タイでは後発であるため、何か強みとなる部分が必要ということから、金型から成形まで一貫して提供できるということをセールスポイントとして打ち出していて、お客様は電動工具関係、2 輪関係、汎用・OA関係という3つが柱となっています。タイでは離職率が高いと言われており、属人性が高い業務が多いと、社員が突然辞めてしまうと仕事が止まってしまうため、リスクマネジメントの側面から、強みである金型については自動化を進めていて、高速のマシニングセンターを入れて、磨きも自動で行えるようにしています。ただ実際は当社の離職率は低く、特に現場社員は創業時の初期メンバーが8割から9割は残っていて、これまで人手不足に苦労したことはありません。

コロナ禍の危機にも、従業員への影響を最小限に抑える取組みを実施

杉浦氏: 当社は大洪水でも大きな影響は受けませんでしたし、土地も値上がりする前に買っていたため、そのための苦労もしていません。そういう意味では創業からの一番大きな危機は、やはり今回のコロナ禍ということになります。当たり前のことですが、現状ではまず固定費を下げていかなければならず、そうなると人件費ということになるのですが、自分としてはどうしても従業員に対して、リストラや給与を減らすというようなことはしたくなかったので、大変申し訳なかったのですが、派遣さんには少し休んでいただくことをお願いしました。外注を減らすという手もあるのですが、コロナ禍が収まり、いざ元の状態に戻った時のことを考えて、社内での残業や夜勤を止めて、機械を無駄に動かさず、その分外注に出すことを選択しました。この間もちろん楽ではありませんでしたし、売上も激減しましたが、ただおかげさまで1日休業しただけで、工場を運営することができました。外注先を維持しながら操業を続けることが出来たことは、いずれこのコロナ禍が収まった時に大きな効果を発揮すると考えています。また固定費削減策として、工業団地では普通に行われている従業員の送迎もやめました。従業員には送迎の代わりに交通費を出すことを説明したので、問題なく納得してもらうことができました。これにより、支給した交通費を差し引いても80%の交通費が削減できて、大きな効果を生むことができました。
 今後の見通しとしては、現在計画している仕事が全て受注できたら、来春以降の売上は順次増加していく見込みです。米中摩擦も当社には追い風となっていて、良い影響が出ており、その関係で受注が大幅に増加しています。中国の会社から当社へとシフトしていただいているのですが、その会社も当社の中国拠点ではないため、グループとしては純増となります。
 またテクノ経営さんにご指導いただいていることも、実際の数字に効果として表れています。現在はまだ厳しい状況ですが、自分の予測よりも意外なほど赤字幅が少なくて、指導していただいた成果がしっかり出ていることを実感しています。この悪い状況の中でも、生産性は良くなってきている。固定費も削減できていて、成型費は協力会社さんの活用で出ていないということで、おのずと結果はよくなるはずです。そういう意味から今後の先行きに関しては非常に期待しています。ただ米中摩擦のような流れで、当社が潤うということは、逆に困っている競合もあるわけで、この状況下で諸手を挙げて喜ぶという気持ちにはなれません。お客様の拠点が世界中にある限り、ここで何か問題があれば、引き上げて他の場所にもっていかれるわけで、その恐怖心は常にあります。
 そういう現状で自分の立場としては、やはり周囲の支えの大きさということを日々実感しています。テクノ経営さんや外注先、そして社員に支えられて、会社の経営を推進することができる。コロナ禍の今、常に周囲への感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

コロナ禍より危機を感じた従業員に対する経営者としての感覚のずれ

杉浦氏: 従業員のために経営者が出来ることは限られていると思います。全ての答えを言ってもいけないし、吸収力を高めるために、お金で何とかなるというわけでもない。じゃあ何ができるかというと、結局対話しかないと考えています。答えを出すわけではなく、ただただ話しを聞いてあげること。ここ数年でその重要性に気付くことが出来て、辞めていく社員がいると、自分はその人の話をちゃんと聞くことができていなかったと考えるようになりました。嫌だったのは、従業員が辞めることに対して鈍感になっていくことで、その時が経営者としては一番危機的な状況だったと思います。自分の中では今回のコロナ禍より、そちらの方がよっぽど大きな危機だったのですが、自分がなりたくない経営者になっていることに対して、従業員が気付きを与えてくれました。そこから自己改革をしなければと思い、まずそれまでの自分を否定することから始めました。過去と他人は絶対変えられない。自分を変えれば周囲が変わり、未来も変わると考え、メンターのコーチに依頼して、自己変革の取組みを進めました。そういうことでもう一度自分を見つめ直しながら、経営を進めて行くと、自然と従業員も辞めなくなり、積極的に相談や報告に来てくれるようになりました。
 悪い状況はこれからもあると思いますが、その時に自分が下を向いているとだめだと思っています。以前従業員から「最近ボスは元気がないですね。みんなが心配していますよ」と言われたことがあります。これは自分にとってはすごくショックなことで、それ以来気をつけるようにしていますが、逆に自分のことをよく見ていてくれていることへの感謝の気持ちもあって、自分は本当に良い従業員に恵まれたと思います。

今後の経営ビジョン

杉浦氏: タイに来て9年になりますが、今後のビジョンとしては、まず黒字化を実現して、会社を軌道に乗せることで、やっと本来の意味での経営のスタートラインにつけると考えています。その上で現在の管理職がレベルアップし、その人材が会社のマネジメントを行えるような流れを、何とか自分がタイにいる間に進めたいと考えています。自分が帰国すると管理職が辞めてしまうようなことになると、今までの取組みが元の木阿弥になってしまうので、彼らのポジションをしっかりつくってあげることが重要だと考えています。そういう意味では今テクノ経営さんの指導を受けて、管理職の社員が少しずつ変化していて、責任感が出てきているように感じているので、これを継続していくことが重要だと思っています。
 自分はタイという国、人が好きなので、ずっとここにいてもいいと思っているのですが、会社としてはやはり若い人を育てていかなければなりません。会社の経営に答えはないと思いますが、その人のポリシーがちゃんとあって、それを貫ける人に後任になって欲しいし、そういう人を育てていかなければならないと今は考えています。

取材にご協力いただいた方

President  杉浦 誠氏

SNSで記事をシェアする:

  • LINE