現場力 × 女性リーダー(前編)

第1回 現場力の再考

1.はじめに

私がコンサルタントの仕事を始めて今年で16年になります。これまで、たくさんのお会社をご指導・ご支援させていただきました。
そして、そのなかでも強く印象に残っているのは、「世代交代」というテーマです。
今まで企業を支えてきた団塊の世代が職場から去った2007年以降、企業の現場力が急速に衰え、「Q:品質、C:コスト、D:納期、S:安全、M:モラール」やモチベーションが大きく低下したと言われています。 定年延長や再雇用などで2012年まで問題を先送りできたこともありますが、この間、自社の切実な問題である「技術・技能」の流出防止と真剣に取り組まれた企業は少ないのではないでしょうか。
今一度、自社のドメインを見直し、更なる強化のために、どんな技術・技能を残してゆくべきかを考えて活動すべきだと思います。 今こそ「モノづくり世界一の日本」の再生を目指して「努力と継続」 による現場力を発揮すべき時ではないでしょうか?
グローバル化が進展する現在、企業が生き抜いてゆくためには、あらゆる変化にチャレンジし、現場の力を向上・強化し、社員一人・一人が持つ能力を顕在化させて現場力を自社の強みにしてゆく継続的な努力が必要です。
今回のコラムでは、いくつかのキーワードを通じて、その為に、何を理解し、実行すべきかをお話ししていきたいと思います。私がモノづくり現場の改善改革を支援させて頂くなかで特に記憶に残っているのは、女性リーダーが主体となって成果達成が出来た事例です。 これらも含めてお話したいと思います。何かのお役立ちになればと存じます。

2.現場力の必要性

我々を取り巻く経営環境は激変を繰り返し、グローバル市場では厳しい競争状況が続いています。中国・インド・タイ・インドネシアなど急成長する新興国市場に向け、海外へ生産拠点をシフトする企業が増加しています。 国内産業の空洞化が進む一方、海外シフトできない中小企業は生産量の低下で厳しいコスト競争にさらされています。企業淘汰の時代、今を生き残るためには、自社の現場力向上・強化が求められているのです。 これを通じて、経営目標を迅速に達成させてゆくことが重要です。 自社の持つ現場力を信じ、果敢に変化にチャレンジすることが生き残る道だと考えます。

3.現場力のキーワード

好調な企業の特徴として
・経営者の強いリーダーシップがある
・社員を大切にし、人材育成が盛ん
・「Q品質、Cコスト、D納期、S安全・サービス」で他社を圧倒する
・他社に負けない現場力(特に5S徹底)の強化がされている
・自社のドメイン(事業領域)に特化している
などがあげられます。これらは特に現場力と関係のある事柄が多いようです。
5Sを徹底し、ムダ、ムリ、ムラを排除し、高い目標に向かってスピードを上げて達成させる力(現場力)を高めることが必要です。そして、これらは人材の育成による社員の能力向上により成し得るものと考えます。

「現場力強化キーワード」として
(1)品質管理・・・事実をつかむ能力と設計段階の予防策(3H等)
(2)原価管理・・・付加価値評価、個別原価管理
(3)生産性向上・・自動化(ロボット化)、問題解決力=現場力
(4)安全環境・・・リスクアセスメント
(5)納期管理・・・リードタイム短縮
(6)人材開発・・・コーチング技術、リーダーシップ向上
などが考えられ、これらは生産性向上のための現場力強化につながります。以下、そのポイントについてお話しさせていただきます。

4.現場力向上のポイント

現場力とは「現場で起きた問題を現場自身で解決できる能力」と定義できます。 もう少し詳しく言いますと
・現場自身が潜在的問題を顕在化させて、問題解決手法を駆使し自律的に行動できる個人的、組織的力量
・形式知では解決できない潜在的問題を暗黙知的に解決する力量
・設備の運転、保守、段取り作業を行う個人的、組織的力量
などになるようです。これらは難しいことのように思えますが、要は自発的に行動・活動を行い、組織活性化できるチーム力が重要なのだと思います。反対に活動の現場でよく耳にする「やらされ感」という言葉は「やる気を削ぐ」職場体質を表しています。 トップは何が原因でそうなるのか? 今一度、指示の仕方を見直すべきではないでしょうか? 個人やチームに方針に照らして、 目標をかかげ、その達成のために自身は?チームは?どうしなければならないのかを考えさせ、具体化させ行動に結びつけてやる。 結果に対しては、「報いる、ほめる、認める」ことを繰り返してやる気を醸成してゆくことが必要と考えます。
現場力向上のステップとしては
A、現場力向上の重要性を説明する。
・QCDSMEの重要性を理解させる。(顧客の目線で)
・計画的に人材の教育訓練を効果的に行う。
B、現場での改善実施
・チームとして、日常の発生する問題点を顕在化し、原因の訴求を行い、対策(誰が何を何時までに)を
実施してゆく。
・問題とはあるべき姿と現状との差であるとの認識を持つ。
・あるべき姿を「見える化」し、現状を把握し差を明らかにする。
・問題には内部要因と外部要因がある事を理解する。
・外部要因排除や活動のフォローを管理者が行う。
・全員参加を基本に、チームメンバーの知識・経験を活用する。
C,改善実施のまとめ・評価
・目標と実績の差異を明確にし、評価する。
・活動全般から今後の人材育成に活用する。
・改善対象領域の拡大

などを進めてゆけば効果的に「現場力強化」が図れると考えます。
これらは、弊社テクノ経営の改善手法「VPM手法」を活用すれば短期間で効果が上がるものと確信しておりますので、ご用命頂けますようお願い申し上げます。 実際にこの活動により、
・職場が問題解決され効率的に作業ができるようになった。
・チーム内の意思疎通が図られた。
・問題の共有化が図れ、やるべきことが見えるようになった。
・職場間の問題を潜在化し解決することで、協力体制が出来た。
・リーダーシップの発揮を実体験できるようになった。
・若手育成に効果的に活用できた。
・余力が生まれて、人材育成に時間を使える  等
トップに喜んでいただき、現場からは意見を聞いてくれるようになったなどのうれしい声を数多くいただいています。

以上、今回は現場力向上で気になるポイントを解説しました。先ほどの「現場力強化キーワード」を実際の場面に落とし込んで展開することが必要です。
例えば、①品質管理では「QCサークル、目で見る管理」中心の活動から、今後はいかに変化に対応する能力を養ってゆくかが問われています。 品質問題や事故などは、3H(初めて、変更、久しぶり)の際起こり易いと言われています。 これらを予知し、問題発生を未然防止するツールを明らかにしておきましょう。
「日常管理・・・見える化や5S」と「設計開発・・・製造のFMEAやFTA」等が有効活用できますし、モノづくり現場でよく使われている4M(人、機械、方法、材料)の視点に3Hを取り込み、体系化しておければ更に効果的だと思われます。

次回は、先輩の方々が築いてこられた現場力の要素である「安全・環境管理」「標準化」「人材開発」等、必要だが失われつつある重要項目についてお話します。また、現場力向上に必要不可欠な女性の活躍なども合わせて紹介してゆきます。

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